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人間になればよかった...
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徹夜して朝帰ってくる筈の相棒が、朝も昼も戻ってこない、深夜にやっと帰ってきて、ぎらぎらした目でアイスクリームを食べている。ONのスイッチが入ったまま、切れないのだろう。
わたしはここ数日、人のためにも、仕事のためにも、何にもなっていない。知らない内に、悪いことをしていた。お疲れさまの声をかけて、熱いお茶を沸かした。
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N町駅の親しい友人から一ヶ月半ぶりにメールが届いた。暮らしが安定したことを示す内容だったので、ほっとした。自分が丁度よい距離にいるのか、あるいは彼女に遠ざけられているのかは判らない。連絡の文面も以前とは調子が違っている。とにかく、わからない領域まで心配するのは止めよう。人は人が変化する瞬間を決して他人に見せないのだと知る。
新しい仕事を始めることになるかも知れない。今いるこの場所で一生懸命やろう。植木に水をやりながらそう思う。
茨城の夕暮れ、義母と娘がトランプで遊んでいる。ふたりは何の音も立てず、手元のカードを扇のように広げて向かい合っていた。
玄関に出ると、枝に、梅が白い花をつけている。冷たくなってきた風に吹かれて、寒そうな景色に見える。死んだ人が、石の上を歩いてきた。私の記憶のなかで一場面だけ再生されるその人の影は、当時と寸分違わぬ姿で何かを喋っている。その顔は装置の不具合で歪み、その声は古い状態のままで保存されている。その記憶装置は、今何の為に動きだし、何の為に、生きている私の現在の時間を、交差するのか知らない。
焼酎をぶら下げ、電車を一時間乗り継いで、恩師の住むC駅へ行く。わたしたち夫婦の大恩人T先生を囲んでの飲み会があり、全部で五人の少人数で養老の滝に集まった。先生は毎晩ここで一人で飲んでいるらしく、飲み屋の中はほとんど全員常連客、あの人ほんとうは偉い人なんだよ、という声が後ろから聞こえた。ぼろぼろのズボンを履いている先生は平然と飲んでいる。去年喜寿だったというので、皆でお金を出し合って買った焼酎と江戸切り子のグラスをプレゼントすると、先生は、ほんとうに嬉しそうに、もどかしげに包みを開き、グラスを天に掲げるようにして、おお、と言った。
皆、やったね。先生、いつまでもお元気でいて下さい。
茨城から戻る特急電車、義母はいつもの通りホームまで一緒だ、娘は窓で義母と手を合わせ、また来週ね、の儀式をする。
時間が経つことを恐れてはいけないと思う。時間が経つのはいいことなのだ。沢山、たてばたつほど、いいことなのだ。どんなことも、喜びも悲しみも、みな引き受けるんだ。
心臓がことこと動いている。運動は軽く、外出はなるべく控えて、心配しすぎないで過ごすことにした。ストレスか自律神経か、犯人はわからないけれど、環境に対応しようとして体が起こすことなのだから、もう体に任せる。ひとつ得たら、ひとつ手放す、結局なにも失くしていないのかも知れない。
茫洋とした未来を思い描く際、いつも、どこまで行けるんだろうと思っていた。今は違う、行けるところまで行くんだ。と思う。寂しいような、明るいような、あたりまえの明日。
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