忍者ブログ
人間になればよかった...
[82] [83] [84] [85] [86] [87] [88] [89] [90] [91] [92]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

意識しなくても、物語の中に暮らしている。自然に生えた草花を見る時もそうだし、親しい人の知らなかった横顔を見るときもそうだ。大きな交差点の雑踏の物語は、内奥の部分を傷つける。大勢の見知らぬ他人が永久に交わることなしにそれぞれの暮らしを営んでいるのは、当然のことなのに、私はそのことすら忘れて、自分の胸に関連性を作ってしまう。その証拠を探しては安心している。自分も無数の点のひとつとして、関連した点を打ってしまう。
身体から物語を追い出して、一切の夢を見ないで、コップや、机や、窓や騒音を直に見て聞いて、暮らす練習をした方が良いような気がしている。
PR
毎日、それとなく運動する習慣がついた。気が付くと身体のストレッチをやっている。字生活から急速に遠ざかっていく。以前は空き時間があると読書にあてていたが、今はバレエ作品のビデオを観る。身体の調和が膨らんで、自分が反転してきたのを感じる。字から少し離れてみようかと思う。毎日更新の弊害が徐々に出てきた。
H町駅の友人に会いに行く。奥歯かむ。頻繁な呼び出しで、ざりざりと擦過傷を作りながら、それでも元気になってくれる方がいい。友人の態度を嘆くのは筋違いだ。自分の方で境界線を守っていれば、お互いに気が楽だろう。

娘の家庭訪問日。ぶらぶら手ぶら、という感じで担任の先生がいらした。こんな場面では緊張してお茶を出す手が震える。先生の方は自然体か、あるいは信念をもって自然体を装っていた。
先生と話したのは10分ほど。短い時間から得た情報は、先生がクラスをまとめることに自信を持っていること、保護者にはあまり手の内を明かさない、ということだ。保護者の一人として無理もないなと思う。先生はお茶もお菓子も召し上がらなかった。40人近くの家庭と公平に付き合うというのは、随分気の張る作業に違いない。先生って大変だ…と一切手をつけられなかった白いまんじゅうを眺めた。
娘が部屋から飛び出してきて、先生とどんなお話したの?と聞いてきた。色々言ってた、先生におまえを任せたよ、と言って、まんじゅうを皿から取って食べた。
私の茨城は、仏様の手のひらの上。茶色い、広い、違和感のある自然。幾らでも生えてくる筍の大地。買ってきた筍を六個、大鍋で煮る。煮られている自分の身体。
生きているのは、辛いことだ。死んで煮られている運命も、辛いことだ。両手をコンロの上に置いて、優しげな歌を聴いて、身を慰める。泡のたつ音。泡のはじける、優しげな音。
故郷は遠し。最初から存在しなかったのかも知れない。乳牛も馬も見かけない丘の上、子ども三人、遊んでいる。
朝、娘と一緒に家を出て、通学路の横断歩道で旗振り当番をする。一年に一回位順番で当たるのだけど、雨が降らなくて良かったなと思う。「学校」と書かれた黄色い旗を、子供が来る度にふった。腕章をつけて立っていると恥ずかしい。斜め前に遠く見える当番の男性が、同じ旗をまるでF1レースでもやるように、派手にふっている。この近所では名物の光景だそうで、あの人がそうか、と思う。
昼、I駅で友人と待ち合わせて食事をした。二年ぶりに再会する「姫」というあだ名の女性だ。私がつけたのではなく、彼女が自分で名乗っている。たいへん親しい人だから、口を開くたびにお互いの個人攻撃をする。姫は、あなたはもっと外の世界に出た方がいい、家に閉じこもってたら駄目だよ、と言う。別れ際、彼女は私の携帯電話を見せろといい、飾りのついてないそれを見て爆笑したあと、「もっと、こういうのつけたら」と言って、勝手に派手なストラップをつけてしまった。絶対外さないで、たまにはそっちからもメールしてよね、と笑った。
夜、茨城に出発。娘と義母がゲームをやっている間、携帯を取り出して眺める。花やらダイヤやらの小物が光っている。もっと自由にやったら。重くなった携帯の違和感に、何度となく飾りを玩んでみる。
カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
最新記事
(02/27)
(02/26)
(02/25)
(02/24)
(02/23)
(02/22)
プロフィール
HN:
北海のあざらし
HP:
性別:
女性
ブログ内検索
カウンター
携帯用
アクセス解析
Powered by ニンジャブログ  Designed by ゆきぱんだ
Copyright © 三本指日記 All Rights Reserved
忍者ブログ / [PR]