忍者ブログ
人間になればよかった...
[103] [104] [105] [106] [107] [108] [109] [110] [111] [112] [113]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

今週は東京。家族三人でI駅にある居酒屋へ向かう。専門学校の同期の結婚祝いパーティがあった。入籍がたまたま重なった二組のダブルお祝い会だ。一組は俳優のRくん、もう一組は文文のズッキーくんと昼行灯さん。祝いといっても、集まったのは15人ほど、プレゼントもごく少額に設定されて、主賓達も遅れてやってくるという只の飲み会である。
豪華なものが何も用意されない会、というのは、人によっては失礼に当たると思うけれど、同期の人達は皆大袈裟なのは勘弁という人達ばかりなので、自然と楽な付き合いに流れる。主賓達も御祝いする方も、てんで勝手に話を交わしている。自分にとって、専門学校時代の知人ほど心和む関係はない。お互いがそこにいるだけなのだが。それは言葉に触れない領域に位置して、決して親しいというのでもない、いいようのない、繋がりを見る思いがする。
八歳の娘がいるので、二次会は断念。とはいっても、時計は9時を回っていた。皆と別れたあと電車に乗って帰ってくる。コンビニに寄って娘と相談しながらカップ麺を買った。子供の健康に悪そうな夜だ。自宅に着くと、娘は嬉しそうにお箸を持ってきた。沸かしたての熱いお湯を注ぐと、どちらのカップからも良い匂いが漂った。
PR
B先生のレッスン場は、半地下に作られた構造で、灰色の壁に大きな鏡が貼られ、降り立つと鏡に閉じこめられた気がする。静かなオルゴール箱のようだ。
教わったバレエは難しい。お手本の4割も再現できない。B先生の普段の訓練は自分にはまだ難しいので、見よう見真似で追いすがってみるが、身体を正しく使えた気がしなかった。
33歳という若年寄りになっても、落ち込みやすい性格を持て余している。それでも、毎日を暮らす答え(意味)を問う作業は、自分の慰めとなっている。偽の解を掴んでは離して、今年も暮れていく。若年寄りとなった現在、もう充分持ち時間をいただいた人間だったという事実を認めなくてはいけない。何の幸運かは知らないが、消えた蝶達より生かしてもらった訳だ。14歳で死んだ弟に至っては、彼は私の二分の一以下で飛び立ってしまった。長く生きたところで、許してもらえる生き方を、何日しただろう。
三週間ぶりに、バレエ教室へ行く為I駅へ。寒々とした曇り空だというのに、喜びで胸が高鳴る。ストレッチ教室は行っていたけれど、やはり3年通い続けているS先生の教えは大好きだ。どちらの教室も選べない。いっそ全部通ってしまおうか。週四回。ええと……無理だよ……なにより資金問題。困った。偽札を作るしか手がないのかも。
S先生のバレエはRAD式で、B先生はワガノワ式だから流派が違う。自分は素人なので、違いに悩むほど知識が深まってはいないけれど、あちこちに手を出してはいけないとも思う。ただお二人の人柄に惹かれているのだった。どちらもバレエを一度諦めかけた経験があり、現在、一生涯踊り続けることを目標とされている。そしてどちらも励ましの名人だ。
手を上げると肩が軽い。おやっと思う。自分の限界値よりさらに可動域が増えていた。ストレッチ効果だ。B先生の教えは、自分の弱点を補ってくれるらしい。
お二人の指導は全く違っているけれど、今の私にとってはどちらも面白い。辞めたくないなあ。
だだっ広い砂浜に、自分一人だけのレジャーシートを敷いて、膝を抱えている10代。景色しかないと思っていたのに、その景色はすでに無限の人間の手垢がついて、過去現在未来も人間でいっぱいの場所であり、皆のものであり、気がつくと大勢の他人のシートで砂浜はいっぱいだったのであり、……シートを丸めて、立って歩くと、自分の居場所はなくなるまでも、多少は風景が、違って見えていいのかも知れない。そうは思ってみても、どこに行ってもおそらく他人の場所と決まっていて、自分に割り当てられた唯一の場所を失うことにもなりかねない。
そんな風に思っていた昔。今は……そこまで、他人が怖くはない。
掃除をしなければと思い、部屋を見回す。週の初めが晴天に恵まれて、掃除から家事を始める事が出来るのは、ありがたい。責任ある仕事をする時や、人と交流する難しさには及ばないまでも、家事は家事で、やり甲斐のある世界ではある。
ものいわぬ白い皿や、布巾、やかん、戸棚のガラス、全てを清潔にしておくことが、驚く程心を穏やかにしてくれる。女性でいるということは楽屋裏を知ることだ。バレエの訓練と同じく、綺麗なものには全て理由がある。楽屋裏があるからといって、嘘だ、厭だと軽蔑する訳にはいかない。地味に積まなければ、清潔という観念は維持出来ない。面倒でもあり、挑戦しがいがある暮らしとも言える。空気のように当然そうなっていなくてはと思う。空気になるまで、訓練を積まなければならない。
ちょっと困難、が、目下の敵だ。一段前の階段だけを見て足を動かそう。
発表会。娘は自分の番が来るとやってきて頭を下げ、ピアノを実に上手に弾いた。本人も夢中だったろうが、聴いているこっちも意識がなかった。
昼過ぎ、いつもと同じ時間にI駅を出発して上野に向かう。三連休のせいだろう、今日に限って座る座席がない。娘はカートの上に腰掛けて漫画を読んでいる。立ち乗りして窓を見ていると、黄土色の田んぼが延々と続いている。銀色のテープが光を反射していて、雀でもないのに眩しくて目をそらした。
誰かを頼りにすることと、もたれかかることは違う。結局は、自分が頼りになるかどうかでこの人生は決まってしまうのだろう。繰り返されない代わり、行き先も知らされない。せめて行きたい場所を決めておかなくてはと、上野の切符を格好良く握りしめると、二つに折れた。
自宅に着き、おぬまさんは仕事でいなかった。娘の宿題を手伝いながら、ピアノ会場で買ったまんじゅうを、夜ご飯代わりに食べた。食欲が少し戻ってきたけれど、まんじゅうは一つ残しておいた。
カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
最新記事
(02/27)
(02/26)
(02/25)
(02/24)
(02/23)
(02/22)
プロフィール
HN:
北海のあざらし
HP:
性別:
女性
ブログ内検索
カウンター
携帯用
アクセス解析
Powered by ニンジャブログ  Designed by ゆきぱんだ
Copyright © 三本指日記 All Rights Reserved
忍者ブログ / [PR]