だだっ広い砂浜に、自分一人だけのレジャーシートを敷いて、膝を抱えている10代。景色しかないと思っていたのに、その景色はすでに無限の人間の手垢がついて、過去現在未来も人間でいっぱいの場所であり、皆のものであり、気がつくと大勢の他人のシートで砂浜はいっぱいだったのであり、……シートを丸めて、立って歩くと、自分の居場所はなくなるまでも、多少は風景が、違って見えていいのかも知れない。そうは思ってみても、どこに行ってもおそらく他人の場所と決まっていて、自分に割り当てられた唯一の場所を失うことにもなりかねない。
そんな風に思っていた昔。今は……そこまで、他人が怖くはない。
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