忍者ブログ
人間になればよかった...
[12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

相棒から仕事の依頼を受けた。依頼というのか、手伝いというのか、よくわからないけれど、ただ働きになると思う。十二月は一生懸命やって、出来ることをして、それで今年がよい形で終われたら、よしとしよう。
人に声をかけてもらえるだけで、儲かってる。
PR
北海道の直輸入の毛ガニを、半額以下でお安く提供しているんですが、と電話先の男性は感じのよい声で言った。人のよさそうな、少しなまりのある声だ。電話の後ろでは電波の雑音か、活気のある市場の音にも似たざわめきがやたらと鳴っている。北海道の訛りとは少し違うようだ、と思いながら、電話をかける方も、かけられる方も、お互いが滅入るのにな、と受ける度に気が暗くなる。
人のよい声、という演技が、板についた、関西の人のようにも感じる。
申し訳ありませんが、今はとてもそういう余裕がありませんので、となるべく丁寧に言う。あっ、そう、と声がどす黒く急変して、電話はプッと切れた。
茨城、土曜日。玄関先で、枯葉色に変色したカマキリがじっと太陽を浴びていた。腹は平らになり、ボロボロにちぎれた羽で、動きが鈍い様子からいっても、今日中に死ぬのだろう。最後の日光浴といった風情だった。
娘が走ってきて「残り少ない命を、大切に味わうんだよ。かまきりちゃん」と声をかけた。カマキリは少しも動かず、羽だけがかすかな風で揺れていた。娘は「あー、今、ひさしぶりに、しみじみした」と言って、両方の足をバタバタ動かした。
「全生とは病を得て、それを活かすこと」(野口晴哉)。
夜、娘の手をひいて、上野駅の特急に乗る。フレッシュひたちの座席は背もたれの部分が三段階で後ろに倒せるようになっているが、前の座席の人は、大抵はサラリーマン風の男性で、背もたれのレバーを全開にして倒す。新幹線と違い車内がさほど広くない特急で、この機能がついているのは不思議だが、どの席に座っても、自分達の前の人はかなりの確率で全開で倒す。つまりは、女子どもであるからなのだろう。本日の後頭部は、白髪混じりで五十代に見えた。
夜景の灯が奇麗だった。闇の中、煌々と輝いている。娘と二人で塩味のゆでたまごを食べた。向こうからやってきた電車とすれ違った。向こうでも、窓の外を見ている人が沢山乗っていた。
リポビタンDという飲料を一瓶飲んでみた。興奮する。足元がふわふわする。もうどうしていいか判らない。歩いていて意味なく走り出したくなる。電車に間に合わないふりをして、ちょっと走ってみる。こんな妖怪いたっけなと走りながら思う。走れるということは、潜在的な体力があるんだと思う。魔法ノ薬だ、と思う。あらゆる怖ろしいものから、遠ざかっていたい。興奮は助かる。薬に助けられた。
お陰で習い事のバレエも、踊って踊って、無事に終える事ができた。
朝、寝坊して、娘を遅刻させてしまった。
小さな、小さなバトンをつないで、なるたけ人に迷惑をかけずに、やればいいんだ、とうなだれて、台所で汚れた茶碗を洗う。キーボードの上に平仮名とローマ字が沢山ついている。今日も駄目かな。戻ってきちゃった。また茶碗を洗うところに行けるかな。やっぱり行けない。どうして、字が書けなくなっちゃったんだろう。
もうとっくに、恥はかいている。字は夢なんだ。寂しいただの夢だ。
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新記事
(02/27)
(02/26)
(02/25)
(02/24)
(02/23)
(02/22)
プロフィール
HN:
北海のあざらし
HP:
性別:
女性
ブログ内検索
カウンター
携帯用
アクセス解析
Powered by ニンジャブログ  Designed by ゆきぱんだ
Copyright © 三本指日記 All Rights Reserved
忍者ブログ / [PR]