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人間になればよかった...
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愛着のある青い手袋をなくした。執着を減らすいい訓練かも知れないけれど、惜しいなあ、もう売っていないのにと、気にかかって仕方がない。人から見れば、ぼろぼろの古い手袋だから、どうでもいいことだ。私の目から眺める時だけ、その手袋は他のぼろと違って、美しい手袋に見えている。なくしてしまって、もっと美しくなってしまった。色が好きだった。
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周辺で、幸福な話と不幸な話が、別々に、隣合って並んでいて、私自身には関係ない形をとりながら進行し続けている。ひとりひとり、宿題が違うから、私の考えはその別の物語には、機能しないかも知れない。関係あるのかも知れない。何も関係がないのかも知れない。
静かな眠りのなかにも、その人達の姿が入ってくる。
数着しかない真面目な服を着て、放課後の小学校へ行く。娘のクラスの個人面談日で、担任の副校長先生と話をした。怖そうな人だと思っていたけれど、至って真面目な、静かな方だった。クラスの状況は、改善されてはいるものの、まだ『力で押さえる』ところがあります、と言う説明だった。さすがに、副校長先生相手に暴れる子どもはいないようだ。当たり障りのない会話をしながら、学校というのは、やっぱりどうしても、陰険なものが地下に潜る、という気がした。子供の人格だとか、個性だとか、仲間だとかを重要視するのであれば、それに伴う陰険さと一緒に暮らす具体的な術も、子どもに教えた方がいいのではないかという気がした。少なくとも、高学年の頃、自分は、そういう技術を切実に先生に教えてもらいたかった。だけど、このいいようのない気持を、口にしたら誤解されるだけなのは、経験上知っているので、お母さん友達には言わないことにしている。
バイト先で、今日は6本もサツマイモを焼いた。
帰り道にパンクした自転車を押して、1時間近く空想しながら歩いた。家の近所にある自転車屋さんに向かうと、無数の車輪の隙間から、せっせとオレンジ色の自転車を直している男性の顔が見えた。その人はぞんざいに立ち上がって、今忙しいので、あとで電話しますんで、と言ったが、その言葉には何の嘘もなく、愛想笑いなど一切しないのが、逆に気持良いくらいだった。電話番号を渡して帰ってきたが、接客というのは、笑えばいいというものではないな、人柄なんだと思った。コンビニで働く時、あんまり笑いすぎるのは止そう、と思った。それよりは、レジを通す速さや正確さや、店内の挨拶に集中しよう、と家に向かう途中の道で、晴れやかな気持になった。
3時間後に電話があり、安い料金できっちりと直ってきた。
何でそんな話になったのか知らないが、10歳の娘が私達夫婦が死んだあとの葬式の話をするのだった。その時は子供でも喪主をやらないといけないの、と、娘は不安と笑顔とをまぜこぜにして、私に聞くのだった。そして、さらに空想が広がったのか、私が死んだら、クラスのみんなはどんな顔をするかなあ、と、言うのだった。早く寝ろ、と布団を引っ張って、彼女の口元を隠したが、彼女は布団の中から、おかーさんが死んだ時は、一緒に何を燃やしてほしいか言って、ねえ本当に教えて、と、もごもご聞くのだった。
さあ、なんだろう、サツマイモでも入れておいて、と娘に言って背中を向けると、娘は、イモかい!と憤慨して、駄目だよイモなんか、と真面目に言うのだった。
早朝、裏の湖の周辺で、誰かが鉄砲を撃っている音がする。カモでも狙っているのだろうと思うが、見に行ったことはない。義母は、流れ弾に当たらないよう、朝は外に出ない方がいい、といつも同じ口調で言うのだった。空気がぬるくなる頃、また静かになった。

家の前の道を運転していたら、尾の長い、キジらしき鳥がトコトコと歩いていた。首の辺りが青色に光っていた。
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