回復

睡眠をとって仕事を休んだ。身体は元通りに回復して通常の心になった。今から自分をまた追い込んでいく自信がない。６０点でも５０点でも構わない、３０点の出来でも構わないから、書き上げてしまわなくてはいけなかった。
今ストレスから解放されてどうする。それでもありがたいことに、まだ数日は作業を続けることが許されている。諦めないで話の核を探してみよう。

梅の蕾

茨城の空は高く、梅の花が咲きかけている。娘と義母はゲームのＷｉｉボードで遊んでいる。後ろから見ていると、二人の出す記録はかなりの僅差で、年齢が離れているにもかかわらず、絶好のライバル関係になっている。６２歳離れた好敵手か。
夜の一番いい時間に日記にとりかかって、書き終わった後ほっとして眠くなる失敗を避けるために、今夜は早めにつけることにした。下手な仕事でも終わりまでやろうと思う。自己批判はあとだ。勇気、勇気。

窓

身体に具体的な不調が現れて、それに比例して精神的なきつさが軽減された。痛いと考えている内は頭を使わなくていいという、人体の作戦がそういう状態を生みだすのだろう。同居している仏がまだ仏なのをいいことに、少し休憩をさせてもらった。休んでいても、夢に出てくる。いっそ続きを教えて欲しいよ、と起き上がってから夢にぼやく。今週末には終わらせて、あちこちの人にかけた迷惑を取り返そう。
茨城に行く日なので夕方に出発。久しぶりに外出して雑踏にもまれると、心臓の違和感を感じる。電車に乗りこむと胸がどきどきして、なるべく窓外を見てやり過ごした。ガラスに四角い広告のシールが貼ってあって、「足取りが重く、息切れがする……」ドキドキ、「人ごみで立ちくらみが……」くらくら、こんな方には救心をどうぞ、と書いてある。まさに今その症状にやられてるよ。救心を買ってみようかと広告を眺めながら考える。

丸い輪

栓が抜けたように、楽になった。怪物に頭を咬まれながらも、何かうっとりした調子で、終わりのない歌をうたっている。時間が丸い輪になって、同じ所にずっといるみたいな気持がする。

きつい場所

今日はもう、ほんとにしんどい。日記をつけると、心臓がどっきんどっきんいっている。何してんのかなあ。自分の皮を脱いでしまいたいなあ。これでいいという所に一向に行き着かないのがきつい。

雪

東京に珍しく雪が降った。雪を見ると心底ほっとする。育ちから来る感情というのは、意外に自分の中に深く根を張っている。ただ、こちらの雪は道路に着くなり溶けてしまって、降る雪も張り合いがなさそうだ。書き割りの景色のように、ただ見るだけの雪みたい。
誰も彼も傷ついているのだから、今更、自分の傷を見せびらかすにはあたらない。悪い日はあってもいいのだと思い直す。悪い日なりにましな日に近づけたい。