H町駅の親しい友人からメールがあり、神経性の急性胃炎で入院したらしい。新しい職場でストレスにやられたのだろう。頑張ってたんだなと思う。とにかく長期戦で、出来る範囲で彼女の応援にまわろう。これで仕事が駄目になったと決まった訳ではないのだから。
今日の茨城は晴れ、お彼岸だったので義母と娘と三人でお墓参りに行く。車を出そうとすると、車体にきなこ餅のような黄色い粉がいっぱいついている。スギの花粉だ。林を見上げたら、枝から埃っぽい空気が不透明な光に透けて風に舞っていた。スギは絶対人間のいる方角に向けて、粉をまき散らしているに違いない。風向きが反対なのにこっちに飛んでくるもの。
車を運転しながら、まだ何も植えられない田んぼの光景を眺める。ここの春を9回眺めた計算になる。林と、田んぼと、青い空と。死んだ人たちは、みな静かだ。古い墓石が随分と沢山、花をふたつずつ乗せて並んでいる。
今日の茨城は晴れ、お彼岸だったので義母と娘と三人でお墓参りに行く。車を出そうとすると、車体にきなこ餅のような黄色い粉がいっぱいついている。スギの花粉だ。林を見上げたら、枝から埃っぽい空気が不透明な光に透けて風に舞っていた。スギは絶対人間のいる方角に向けて、粉をまき散らしているに違いない。風向きが反対なのにこっちに飛んでくるもの。
車を運転しながら、まだ何も植えられない田んぼの光景を眺める。ここの春を9回眺めた計算になる。林と、田んぼと、青い空と。死んだ人たちは、みな静かだ。古い墓石が随分と沢山、花をふたつずつ乗せて並んでいる。
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B先生のバレエの稽古を受けに行く。先生曰く、バレエを子供の時から習っている方の多くは、外国人コンプレックスに陥るのだそうだ。長い足や高い鼻、きびきびした自己主張のある動き。高みを目指していくと、肉体自体の問題に辿り着くのだろう。物事は続ければ続けるほど、方程式がどんどん、ややこしくなる。どんな訓練にも迷宮が待ち構えている。だからといって、迷宮をくぐってみるより他、どんな道があるだろうか。初心にかえるつもりでいても、初心にはなれない。そうして、最初の頃は楽々書けたのに、とか、怖いもの知らずの方がうまく出来た、とか、そういう、存在しなかった満ち足りた時間を、空想するようになる。
原稿が上手く書けなくても、字を長く続けたから、必然的に迷宮におちたと言えない事もない。うまくいかない日が続いて苦しい。
原稿が上手く書けなくても、字を長く続けたから、必然的に迷宮におちたと言えない事もない。うまくいかない日が続いて苦しい。
ストレッチも、バレエも、続けていると書き言葉とは違う暮らしになる。運動が習慣になると、心臓の強さが変わってくる。苦痛を訴える自己を敵と見なすさばさばした心が育ってくる。弱肉強食の価値観になる。感じたことをいちいち文に置き換える必要がなくなる。
字を書くという動作は、心臓の鼓動と正確に同調して、その人だけのテンポで刻まれる気がする。バレエ等をやっている時は、心臓の鼓動は早鐘のようだから、字を並べる速度とあわない。字は単語になって、ぱっぱっと千切れるから、のろのろと字を考えている暇がない。文章には向かない。
今日はストレッチ教室で、どうしてこれって字にならないんだろうと考えながら踊り、昼からは電車に乗って上野駅へ行った。長い地下通路の果てに、誰もお客さんのいない端のぽつんとした部屋で、無事落としたカードを受け取ることが出来た。
字を書くという動作は、心臓の鼓動と正確に同調して、その人だけのテンポで刻まれる気がする。バレエ等をやっている時は、心臓の鼓動は早鐘のようだから、字を並べる速度とあわない。字は単語になって、ぱっぱっと千切れるから、のろのろと字を考えている暇がない。文章には向かない。
今日はストレッチ教室で、どうしてこれって字にならないんだろうと考えながら踊り、昼からは電車に乗って上野駅へ行った。長い地下通路の果てに、誰もお客さんのいない端のぽつんとした部屋で、無事落としたカードを受け取ることが出来た。