忍者ブログ
人間になればよかった...
[71] [72] [73] [74] [75] [76] [77] [78] [79] [80] [81]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

実家の北海道に今年は行かないということになって、なにか気が抜けたように暮らした。茨城が決して嫌いではないけれど、本州の夏は暑すぎて、照りつける太陽を見ていると、気が狂いそうになるのである。一度でもあのひんやりした土地で、夏なのに寒くて泳げない灰色の海と、草しか生えていない誰も通った形跡のない丘を、心ゆくまでぼうっと眺めてみたかったのである。でも仕方がない。今年は太陽と闘う。今年は、家事や料理、子供達の相手、お盆行事の手順など、去年より手際よく出来るようにしよう。うまくいけば自分の胸にも本州の太陽が根付くかも知れない。
そんな訳で、今夜の献立はサッポロラーメンを作って食べた。
PR
今日も娘と喧嘩した。八歳の娘が、どんどん大人になっていく。娘の核は、すでに私の圏から離れようとしている。母親だけが光源ではない。この先、互いが見えなくなるまで離れるのだなと思い、初めての不安を感じる。子供が出来てから一度も知らない感情だ。人間が人間を産んだのだから、歩いて去っていくのは当たり前の話なのだ。しかし、その速度を目の当たりにすると、もうお母さんのことは必要ないのかと、小さい背中に声をかけ、手をひいてしまいたくなる。
小学校の三者面談があり、担任の先生に娘の様子を聞いた。そうなんですか、を50回くらい繰り返して一生懸命聞く。娘の小学校では二学期制が導入されて、夏休み前にも通知表などが配られない。十月半ば位に突然二学期が始まるそうで、メリットデメリットがよく判らない新システムだ。夏休みの宿題も、学校からの宿題は出ませんので、個人で課題を決めていいです、との説明、なんだか拍子抜けして、返事した。そうなんですか?
朝、H町駅の友人からメールの着信。要返事の内容。今日はお母さん友達のNさんを自宅に招く予定だったので、H町駅の友人には会いに行けないと告げた。お昼に、自宅にやってきたお母さん友達のNさんに、パスタやサラダをふるまい、手作りしたチョコレートのムースを一緒に食べた。日常生活のどこかが麻痺し、感じなくなっていなければ、近付きすぎてレンズの焦点が合わないように、健康に暮らしていくことが出来ない。
白壁をじっと見る。蛍光灯に照らされて、薄いしみや、何かの線が浮かび上がっている。言葉が先だったのか、気持が先だったのか、字である程度整理できるまでは、いつも胸の奥の方で混沌のように、渦を作っているなにかを持て余していた。それは多分考えてはいけないことだったり、言ってはいけないことだったりした。歳をとって字を沢山書くようになってからは、指にまかせた字の方が、自分の本当の姿だったことにして済ませたりした。心に形を与えるということは、それを終わらせるということであり、次へ向かうということでもある。しかし現実には、混沌のまま引っ張り出さず、胸の奥の定位置に置いておく方が、ずっとましという場合だって、あるのではないか。時間が経ってから、初めて何が起きたのか判る経験が、この人生では沢山あって、それを待たないことは、自分で自分を欺きながら、気が付かない場合だって、あるのではないか。
穏やかに話すつもりが、娘と喧嘩のようなものになってしまい、娘は泣きながら義母の部屋に入ってしまった。自分を苦しめる娘の振る舞い、自分が悪いとは思いたくない相手に主張したい正しさ、この小さい領域を、私は何故守ろうとするのだろう。茨城の蒸し暑い夜が、ひとりでいる後味の悪さを一層強めている。
どうすればよかったのか、他にいい方法があったようには考えられない。正しい選択をしたと自分では思いたいが、正しさを選んだ筈ならこの胸の気持もないだろうに、私が娘を悲しませ、夜を憂鬱に過ごすという形が残っただけだ。
カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
最新記事
(02/27)
(02/26)
(02/25)
(02/24)
(02/23)
(02/22)
プロフィール
HN:
北海のあざらし
HP:
性別:
女性
ブログ内検索
カウンター
携帯用
アクセス解析
Powered by ニンジャブログ  Designed by ゆきぱんだ
Copyright © 三本指日記 All Rights Reserved
忍者ブログ / [PR]