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人間になればよかった...
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昼、なつかしい声がして、引越した娘の大親友がドアの前に立っていた。東京まで来る用事があって我が家に立ち寄ってくれたらしい。娘は瞬間、ばんざいをして、名前を大声で呼んだ。女の子の方も玄関で両手をあげた。二人は子犬がじゃれるように抱き合い、日が暮れるまで遊んでいた。
深夜、相棒がどす黒い顔で帰ってきた。友達のことで死ぬほど辛がっていた。家の中はお通夜のよう、隣にいてかける言葉がなく、背中をさすって慰めた。
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休日らしい日。小糠雨の降る中、娘と喪服のクリーニングなど取りに行く。しずくの冷たさに、夏が終わったなあと思う。
二度目のサンダーアーダギー、配合を変えてみる。駄目だ。私に沖縄の心は再現出来ないというのか?……眉間に皺をよせて試食していると、娘は、げっ、またまたサンダーアーダギー!と覗きこむなり言った。大皿に盛った握りこぶし大の菓子は、夜には全部無くなっていたが、さすがに心なしか母子共肥ってきた感じがする。沖縄の方言で「砂糖、油、あげー」サンダーアーダギー、だそうだから、相当の高カロリー、さすが南国の食べ物だけはある。三回目に近日挑戦だ。
小雨の降るS駅で、元同期Kちゃんと待ち合わせた。今日は彼女の書いた脚本を読む約束だった。コーヒーを奢ってもらって、一時間半、話をした。彼女はほんの少し緊張している風だった。14年前に専門学校で同じゼミにいたのに、在学中彼女の書いたものを全く読んだ事がなく、書くのが嫌いなのかと思っていた。だから私にとっても初体験だった。脚本はその人の長所短所、考え方の癖、私的体験、ぜんぶ貝のむき身のように丸出しなので、読んでいると、ほんとうにその人の柔らかな内側を手で触っている気がする。凄く怖い人の作品になると、読んでいるこちら側の殻を割り、逆に触ってくるので、防戦一方になる。自分の印象では、Kちゃんは一生懸命考える人で、書くことにいい加減な人ではなくその反対だった。脚本の勉強をして、不器用な自分は得をしたことが沢山あった。彼女もきっと、この先も続けていく人なのだろう。
娘の夏休みの宿題を手伝って日が暮れる。旅がしたいなあと窓の外を見て思う。夜、テレビでタレントの山本太郎が世界の僻地を旅する特集をやっていた。この人、丈夫なんだな、と思っていたら、眠れない時に眠剤を使って、という一言があり、当たり前だけど、最悪の出会いや長時間延々と移動する苦労などもある訳で、世界一周が丈夫で済む話でもないだろう。この人の明るさへの意志は凄いなと思う。恩師の小説本に、『……人生全部抱えて明るく生きるべきだ、体調も抱えて。体調が悪くとも明るく生きられればしめたもんだ。』という一文があり、何度となく反芻している。
夜中に沖縄の揚げ菓子サンダーアーダギーを作った。ネットでレシピを拾って作ったが、出来てみると普通の揚げドーナツになって失敗。娘は喜んでくれたが、また近日再挑戦しよう。
今まで随分と落としたり踏みつけたりしたが、その度に生還を果たしてきた我がコンタクトレンズがとうとう割れた。今回は最短期間で壊した。ガラスのコップなら100円で買えるが、レンズだとそうはいかない。透かして見ると確かにふちが欠けている。割れたまま使えないかな、と試しに目に入れてみたら、痛かった。目をとるか、金をとるか。夏休みに僅かに手に持っていたお小遣いも、これで泡と消えた。
安いコンタクトレンズを買いに、I駅のBカメラ店で診察を受ける。紛失に怯える暮らしはもういやだ、と思って、使い捨てタイプに切り替えることにした。売り場のお兄さんは親切に装着の手順を教えてくれた。見知らぬ人の目をアップで見た。黒目にまるく張り付いていた。今度のは、巨大くらげみたいだ。
空っぽの財布を鞄にしまって、建物の外へ出る。裸眼で歩くと何も見えない。明日からはもっとよく見えるなあと、新しいレンズへの期待が高まると同時に、失われたお金に気持がぼんやりする。ぼけた視力で街を見ると、区切りのない影が集団で往き来していた。
昨日バレエの帰りに電車を待っていたら、向う側の柵の近くで、ねこじゃらしに使いそうなふさのついた雑草が、上下していて、何だろうと目をこらすと、雀の子どもが一羽、草の上に乗ったり降りたりしていた。生まれたてなのか、怪我でもしたのか、草の穂が跳ね上がるのを何度も飽かずに繰り返している。他に仲間がいる気配もなく、やっぱり鳥なりに遊んでいるのかなと思う。なんだか、人間の子どもを見ているような気がした。
今日、何故だかその雀が夢に出て来て、夢では夜になっていたが、土の上で動けなくなっていた。足首に雑草が絡まっていた。なんということもなく、あの雀は人の子どもの生まれ変わりだ、生まれてきたのはいいけど、またすぐ死んじゃったな、と思った。起きた後、しばらく夢と現実の区別がつかなかった。
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