小雨の降るS駅で、元同期Kちゃんと待ち合わせた。今日は彼女の書いた脚本を読む約束だった。コーヒーを奢ってもらって、一時間半、話をした。彼女はほんの少し緊張している風だった。14年前に専門学校で同じゼミにいたのに、在学中彼女の書いたものを全く読んだ事がなく、書くのが嫌いなのかと思っていた。だから私にとっても初体験だった。脚本はその人の長所短所、考え方の癖、私的体験、ぜんぶ貝のむき身のように丸出しなので、読んでいると、ほんとうにその人の柔らかな内側を手で触っている気がする。凄く怖い人の作品になると、読んでいるこちら側の殻を割り、逆に触ってくるので、防戦一方になる。自分の印象では、Kちゃんは一生懸命考える人で、書くことにいい加減な人ではなくその反対だった。脚本の勉強をして、不器用な自分は得をしたことが沢山あった。彼女もきっと、この先も続けていく人なのだろう。
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