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人間になればよかった...
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夕方、娘を連れて茨城へ。相変わらずの別世界。
相棒に待ってもらっていた原稿の直し作業を今夜中にする約束になった。先日学生達にやいやいと勝手な意見を言いながら、自分といえば毎回〆切を守らないのだから、詐欺の親戚だ。今夜は真面目に原稿に向かわなくてはいけない。
茨城のパソコンの部屋も寒くなってきた。半年ぶりに収納棚から湯たんぽを出して、熱湯を注ぎ入れた。私は熱過ぎる湯たんぼを、位置をあちこち移動させて使うのが大好きだ。熱くて飛びのいたり、足先で蹴ったりして、本来の温める目的から逸脱しているのだが、気持いいのか厭なのか判らない。
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学生達は完成稿を書き上げて、元気よく朝の8時に帰っていった。撮影がこれから始まるけれど、脚本指導の私はここで関わりが終わる。一ヶ月半後の上映会の時に再会こそ出来るけれど、大抵学生達は作品が完成した興奮で沸きかえっていて、脚本の講師などは遠い昔の人になっているのが常だった。だからいつも自分は、ここで皆と最後だと思ってしまうのだった。脚本班の八人と握手してもらって別れた。
血色の悪くなった顔を洗い、汚れた服を着替えて、ひとりになると、窓外からは涼しい風の音ばかり、何の気配もなくなって静かだった。身体のつっかえ棒が外れたようだった。
学生達が8人自宅に集まって、皆でうんうん唸って脚本を直している。今夜も徹夜になりそうだ。身体中の関節が痛くてたまらない。でも心はまだ張っている。朝まで持ちますように。
学生達は無事に脚本を書き上げて、ふらふらと朝の10時半に帰っていった。付き添った自分も安心して、徹夜で汚くなった顔を冷水で洗った。煙草の吸い殻、ペットボトルの山、大勢の人間が泊まった痕跡が残っている。一人一人と交わした会話を思い出す。明日最後の仕上げにまた昼に来るとのこと。もう皆に愛着が湧いている。
すぐI駅へ向かう。幼稚園時代のお母さん達と12時からランチ会だった。徹夜明けのしょぼたれた姿で、お母さん達と楽しくスパゲティを食べた。塾、子供、将来の学費、お母さん達の会話は続く。眠っていない頭がぐるぐると回転しているのを感じた。家に電車で戻る途中さすがに疲れて、ドア付近のポールを握って立ったまま眠った。夢なのか現実なのか、青い光りがちかちかと目の前を飛んで、蝶のような影を見せていた。
昼に東京に戻る。自宅に学生8人が集まって、脚本の直しをしている。12時間ずっと作業している。夜も徹夜で、朝までかかりそうだ。何人かが床でごろ寝している。苦労が実になるように祈って、私も徹夜。
朝、心臓に不快感、収まるまで胸に手を当てていたら、遠ざかってくれた。心臓が血を吸って膨れ、縮む、その感じをじっと味わっていると、まだまだ動きたい、と思って怖かった。喜びと悲しみが脈絡無く、いつまでも続いていくようで、強制的に断ち切られる事がなければ、どうしてこの世界と別れを告げられるだろう。
昨夜残ったケーキを朝ご飯にして、娘の手をひいて茨城へ出発した。また金木犀の香りがして、見回したけれど、道のどこに咲いているのか判らなかった。娘に何か大事なことを話しかけようとして、失語症のように言葉を忘れてしまった。
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