学生達は完成稿を書き上げて、元気よく朝の8時に帰っていった。撮影がこれから始まるけれど、脚本指導の私はここで関わりが終わる。一ヶ月半後の上映会の時に再会こそ出来るけれど、大抵学生達は作品が完成した興奮で沸きかえっていて、脚本の講師などは遠い昔の人になっているのが常だった。だからいつも自分は、ここで皆と最後だと思ってしまうのだった。脚本班の八人と握手してもらって別れた。
血色の悪くなった顔を洗い、汚れた服を着替えて、ひとりになると、窓外からは涼しい風の音ばかり、何の気配もなくなって静かだった。身体のつっかえ棒が外れたようだった。
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