太陽はものすごく輝いていた。下を歩いている人間などお構いなしだ。
こういう晴れた日にバレエがあるのは嬉しい。身体は普段より言うことを聞いてくれるし、少しぐらい出来が悪くても落ち込まずに練習できる。こんな日は幾らでも動いてしまう。
この先どれだけ訓練を重ねても、人前で踊る事のない、素人バレエ。思えば、はかない遊びである。もっともらしい理由で止めたくなるけれど、あの堅いにくらしい悪魔の靴は、人の向上心をがっちり掴んで離さない。
あの堅い靴を履いた足のつま先はどうなっているか、自分も知らなかったのだけど、「指は真っ直ぐに伸びている」。じゃあどこで立ってるかというと「先の堅い部分に足が挟まっている」。固めのスリッパを履いて、浴衣とかの紐でぐるぐる足に巻きつけて、つま先で立ってみれば、トゥーシューズの感じに結構似ている。冠婚葬祭で使うような上等の革靴で、つま先立ちしても、二秒くらい成功する。もちろんその靴は傷みます。
それから、バレエの靴には左右の区別がない。どちらも同じ形をしていて、右、左をおかまいなしに履くのだった。
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