どこでもドアで茨城へ。暑い日差しの中、恒例の庭掃除をして過ごす。先週ちょん切った草達はまた息を吹き返していた。
小沼お母さん邱周辺には、とかげ達が沢山暮らしている。ふっと下を見ると、よく石の上を走っている。嫌いな人は想像するだけでむしずが走るだろうが、とかげは毒もないし、わるさもしない、ただそこいらを走るだけの可愛い小心者だ。見つけたので反射的に飛びかかって(なぜなら妖怪人間ですから)素早く両手で捕まえると、とかげは何度も私の手のひらの肉を噛んだ。歯がないからさして痛くもない。7歳の娘に見せた。娘は大喜びしている。そのまま握っていたら異変が起きた。とかげが……芝居をうったのだ。そして、胴の辺りから千切れた。私と娘はぎゃっと悲鳴をあげた。下に落ちた尻尾がうねうねと動いている。本体(?)は、悲しげに尻を隠しながら草陰に消えた。とかげの尻尾切りだ。これがそうなんだ。言い訳ではないけれど、こちらとしては友好ムードで接してすぐに放すつもりだったのに、なんというあわてん坊だろう。物理的な力も加えず、奴はロケットでも切り離すように、自分の身体を切り離してしまった。残された私達親子はしっぽを見下ろした。尻尾はまだうねうねと動いていた。私はとかげが少し怖くなった。なにか人間には判らぬものだと思った。こんな事は無我夢中でしでかすのだろうか。それとも、切り離せると知っていて、普段から頼りにしているのだろうか。別の個体がこちらを物陰からうかがっているのが見えた。私は娘の肩を抱いて、マイホームへ帰っていった。
小沼お母さん邱周辺には、とかげ達が沢山暮らしている。ふっと下を見ると、よく石の上を走っている。嫌いな人は想像するだけでむしずが走るだろうが、とかげは毒もないし、わるさもしない、ただそこいらを走るだけの可愛い小心者だ。見つけたので反射的に飛びかかって(なぜなら妖怪人間ですから)素早く両手で捕まえると、とかげは何度も私の手のひらの肉を噛んだ。歯がないからさして痛くもない。7歳の娘に見せた。娘は大喜びしている。そのまま握っていたら異変が起きた。とかげが……芝居をうったのだ。そして、胴の辺りから千切れた。私と娘はぎゃっと悲鳴をあげた。下に落ちた尻尾がうねうねと動いている。本体(?)は、悲しげに尻を隠しながら草陰に消えた。とかげの尻尾切りだ。これがそうなんだ。言い訳ではないけれど、こちらとしては友好ムードで接してすぐに放すつもりだったのに、なんというあわてん坊だろう。物理的な力も加えず、奴はロケットでも切り離すように、自分の身体を切り離してしまった。残された私達親子はしっぽを見下ろした。尻尾はまだうねうねと動いていた。私はとかげが少し怖くなった。なにか人間には判らぬものだと思った。こんな事は無我夢中でしでかすのだろうか。それとも、切り離せると知っていて、普段から頼りにしているのだろうか。別の個体がこちらを物陰からうかがっているのが見えた。私は娘の肩を抱いて、マイホームへ帰っていった。
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