大事ということ

大事に思っているだけではなく、それを証明しなければいけない。試される機会が来た時、わたしはいつも証明に失敗してきた。

憂鬱

希望の方にかけよって、明るく健康に生きていきたい。この仕事が済んだら、絶対にそんな風に毎日を暮らそう。テレビを見ていたら、昔の飼い犬のあだ討ちをしたいという理由で、元厚生次官の人達を包丁で刺した事件の被告が映っていた。勘違いして他の省の人を殺したそうで、何から何まで不可解だ。何故この人の心境が正義感とすり替えられているのか、目を見ているとくらくらする。

恥

朝、寝坊して、娘を遅刻させてしまった。
小さな、小さなバトンをつないで、なるたけ人に迷惑をかけずに、やればいいんだ、とうなだれて、台所で汚れた茶碗を洗う。キーボードの上に平仮名とローマ字が沢山ついている。今日も駄目かな。戻ってきちゃった。また茶碗を洗うところに行けるかな。やっぱり行けない。どうして、字が書けなくなっちゃったんだろう。
もうとっくに、恥はかいている。字は夢なんだ。寂しいただの夢だ。

そして

今夜は、本当に辛い気持で保護者会の報告を聞いた。みんな精一杯、現場も精一杯なのだろうと理解はしている。でも、もう、なんだか辛かった。
『お知らせ　四年Ａ組の保護者の皆様におかれましては、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。さて、Ｙ教諭に代わり、担任となったＨ教諭ですが、体調不良のため１１月６日に退職いたしました。このような事態と混乱を招いたこと大変申し訳ありません。お詫びいたします。……』

弟

子どもの時に握りしめたタンポポと、同じ形の花がそこにある。
草刈り機を動かす３５歳のおばさんは、そのことをまだ忘れてはいないのだ。

弟の横顔。きみの、欠けた歯。

きみは、ここにいるよ。
どこにも、行きはしないのだ。

ノート

朝、娘を学校に送り出すことが不安になった。普段と変わりない顔で走っていく。
娘がいなくなった後、置いていった教科書やノートを何気にひろげてみたら、後半に行くにしたがって、字は雑になり、列はくねくねと曲がっていた。なんだか胸が痛くなって、ノートをしばらく見ていた。
夜、２週間ぶりの茨城へ出発。