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人間になればよかった...
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今日の手帳は予定だらけ。電車に乗る時間を計算したら、約5時間も移動して過ごした。途中下車の旅じゃないっての。
朝、親しい友人に会うためH町駅へ行く。いつもと同じ店で待ち合わせ、同じ銘柄の煙草を吸い、コーヒーを飲んで彼女の話を聞く。薬が増えていて心配したが、顔の表情から大丈夫だと感じた。最近は問題の核心に触れる話なんかまるでしない。お互いの楽屋裏が判っている。お昼から映画学校に行ってくると話すと、彼女にとっても母校なので、今さら何の用事があるのと笑われる。学生の手伝いをしてくるんだと話すと、さらに笑われた。
昼、電車を乗り継いで一時間後、神奈川県のS駅にある日本映画学校に着く。久しぶりの母校をなつかしがっている時間もなく、T先生と打ち合わせする。先生のやり方は変っていない。ひたすらかき混ぜるのみ。学生の待つ教室へ行くと、態度はごく丁寧で、内心は信頼もなにもない、いつものスタートが待っていた。脚本指導といっても教科書がある訳ではなく、各自の担当者の裁量にまかされている。学生に一人一人話を聞いてみると、皆が脚本をぜんぜん読んでいない事が判明する。学生はいつもの事ながら他力本願だ。気持がよく判る。皆、教師の指導を無言で拝聴する機会に慣れすぎてしまっているだけだ。
先生が帰りに「すまないがよろしく頼むよ」と頭を下げた。毎年すまない事になるのは自分のせいもある。ノーギャラを覚悟していたら、先生はきちんと給料をくれた。ありがたい。こちらも責任をきちんと果たさなくてはいけない。
夕方、学生の脚本を頭で反芻しながら、電車に飛び乗る。娘の帰宅時間に間に合いそうにない。一時間半後に自宅へ到着。鍵がかかったままで家に入れなかった娘は、外で口をとがらせて待っていた。今日は忙し過ぎて、肝心のわが子をないがしろにしてしまった。
夜、娘と手をつないで走る。どこでもドアで茨城へ。
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今日の手帳には予定が入っていない。胸がほーっとする。ありがたいことに外のお天気も上々だ。風もほどよく、日光は強め。こんな日にお洗濯しない手はない。
洗濯、掃除、買い物、銀行、靴洗い、整頓、アイロンがけ。予定の行動を全て済ませても、午前中で終わることができた。昔は作業があまり上手くない事もあって、あっという間に一日が終わってしまったものだ。今は苦痛を感じるよりは、穏やかさを感じるようになった。なんでもない一日くらい尊いものがあるだろうかと思うようになった。洗い終わった娘の靴も、さっぱりと秋の日差しを照り返していた。
お昼過ぎ、自分の母校である日本映画学校から電話をもらう。永遠の恩師、T先生の太い声が鼓膜をビリビリ震わせる。学校の一年生の実習を手伝ってくれないかとの依頼。900フィート、10分弱くらいの作品。10分というと遊びみたいだが、実際作ってみればその難しさは侮れない。ビデオテープではなくフィルムを使って撮影するからアクシデント続出は必至だ。先生は場をかき回す発言を信条にしているから、たちまちカオスが発生、学生は例外なく疲労し、不信を抱き、混乱し、収集がつかなくなる。ノーギャラで学生と一緒くたに脳味噌がぎゅうぎゅうになる実習だ。謹んでお受けする。今まで何回となくT先生に声をかけられて、実習のお手伝いをしてきた。考えようによっては、先生と製作の現場で関わる事の出来る唯一の機会でもあった。高齢のT先生はおそらく今年で引退されるだろう。私が先生と一緒に仕事をさせてもらえる最後の機会になると思ったのだ。
昨日刈った筈の草がまだらに残っていた。夕暮れの薄暗がりの中、適当に勘で刃を動かしたからだろう。朝から草刈り機のエンジンを始動させて、綺麗に刈直すことにした。東京に戻る日に草刈りはしていけないと、以前決めたのに。
……石も土も、顔にバチバチ当たる。日が高くなり、熱が一斉に地表を燃え上がらせる。草刈りだって、草の命を奪う以上、重要な他の仕事と同一の条件で出来ている。仕事は奪うことだ。世界から奪いとって自分のものにすることだ。創造ではない、略奪だ。目に映る何もかもを自分そのものしてしまうこと………顔も身体も、全身に草の飛沫を浴びて立っていた。エンジンが止まり、夢は冷めた。
お昼過ぎに東京に戻る。香水に包まれた女性達と電車に揺られながら、我が身のまぬけをふりかえる。爪の間に入った土や、ゴーグルの痕のついた目の下辺りが恥ずかしい。東京に帰る日は、きれいにして帰ること。疲れて自宅に帰ると家事をする気力が失せるから、東京に戻る日に草刈りはしない。自分で作ったルールを忘れていた。
深い疲労。夜はおぬまさんの奢りで、もんじゃ焼きを食べに行った。
窓外は、申し分ない青空。すすきが風に揺れている。気温はあまり下がらないけれど、眺めの方はもう夏とはいえない。
今日は、娘とメダカばかりを見て過ごした。大騒ぎだった夏休みの間に、おぬま家ではメダカを10匹購入した。きっと死ぬからと私は反対したのだが、娘の決意は固かった。案の定、メダカは次々と謎の死に方をして、2匹しか生き残らなかった。これも間もなく死ぬだろうと思っていたら、つがいで仲良く遊んでいる。水草のすき間を少女漫画のように追っかけっこしている。しばらくしたら新婚になったらしく、卵を産み出した。
赤ちゃんメダカは透明の身体で泳いでいる。なんとなく珍しくて、いくら見ても見飽きない。どうしていいか判らない。卵は次々と孵って10匹位はいるようだ。親と違う別の水槽に移したはいいが、自然界の生物も親と一緒がいいものだろうか。やろう、やろう、と外野が騒ぐ。メダカを1匹、親のいる水槽に移してみた。赤ちゃんは親の側によりそって泳いでいる。良かった。と思った瞬間、メスがあっという間に赤ちゃんを食べてしまった。
吐き出すだろうかと見ているが、メスは平気な様子だ。「なんてバカなことをするんだろう」とおぬまお母さんがため息をついた。私はなんだか非常に悪いことをしたという気がした。メスの方にも。赤ちゃんの方にもだ。人間として人間の優しさで接すると、意識せず色々な悪を重ねてしまうらしい。
車だって、もうガソリン切れそうと思いながら、しばらく走り続ける事が出来る。あの感じに似ている。体力はないんだけど、でもまだ走れる感じ。この週末にたっぷり睡眠をとって、活力を取り返そう。
昨日見てあげなかった娘の授業参観に出かける。二日間にわたって1時間目から5時間目まで、どれでも好きな時に参観できる仕組だ。学校も日々進化している。5分だけ見て帰ったって全然かまわない。四時間目の国語を見に行くと、直前まで体育だったらしく、子供達の熱気がこもっている。娘は私を見つけるなり、満面の笑顔になった。時々振り返ってはウインクなどしてくる。ウインクしてる場合か。じりじりするが、これが親の心境というやつだろう。なんとなく、すぐ帰るのは悪い気がしてきた。
先生の問いかけに娘はやたらと手をあげるが、せっかく当てられても、とんちんかんな事を答えている。親心というのは一体何なのだろうか。両手を組んで娘を見守っている、このしんみりした気持は。私は子供を持つまで、子育てという作業も、親の愛情というやつも、軽く見ていた気がする。
給食のいい匂いがしてきて、立っていた足も痺れてきた。授業を終えた娘に声をかけて、なんとなく元気がでて家路に向かった。
夜、恒例のどこでもドアで茨城へ。今週は実に不便だった。着くなり携帯電話を探しまわる。あった。二つ折りの受話器をあけたまま、まぬけに落ちていた。着信履歴をすぐ確かめようとスイッチをカチカチ押すが、反応なし。「充電してください」の文字とともに、顔をしかめている携帯電話くんの顔マーク。思わず脱力する。
親しい友人から自宅に電話が来る。携帯に連絡しても返事がなくて、と言う。こっちも心配していたから、心からほっとする。神仏への祈りが通じたらしく、彼女は無事だった。今日会いに行く事になり、電車を乗り継いで彼女の住むH町へ向かった。
外は大雨で、信号を待っているとズボンが斜めに濡れる。靴下の中まで濡れてしまった。待ち合わせ場所に先に着いてしまって、一人でコーヒーを飲む。携帯を時計代わりにしていたので、何時になったか判らない。四つ持っていた時計は全て電池切れかベルトが千切れるかして使えなくなっていた。時間が全く判らないまま、勘で時間を計る。お日様の高さで暮らせたら、どんなに気が楽かと思う。
現れた彼女は元気そうだった。この調子ならそれほど心配いらないだろう。彼女は自分を生き返らせる旅を順調に進んでいた。もう以前の彼女はここに存在していない。私達の不思議な関係は終わっていって、これから徐々に、元々あった友人関係に戻っていくことになるだろう。別れて帰る頃にはズボンは乾いていた。
家に着いて、どっと寝不足の疲れがくる。テレビをつけるなり、座り込んで眠る。安倍総理の辞職を聞く。半分眠りかけた目があいた。総理の目つきは廃人のようだった。内情は周囲の人だけが知っていたのだろう。恐らく本当に限界だったのだ。これから挽回してくれる方だと思っていたので、個人的には残念だ。
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