昨日刈った筈の草がまだらに残っていた。夕暮れの薄暗がりの中、適当に勘で刃を動かしたからだろう。朝から草刈り機のエンジンを始動させて、綺麗に刈直すことにした。東京に戻る日に草刈りはしていけないと、以前決めたのに。
……石も土も、顔にバチバチ当たる。日が高くなり、熱が一斉に地表を燃え上がらせる。草刈りだって、草の命を奪う以上、重要な他の仕事と同一の条件で出来ている。仕事は奪うことだ。世界から奪いとって自分のものにすることだ。創造ではない、略奪だ。目に映る何もかもを自分そのものしてしまうこと………顔も身体も、全身に草の飛沫を浴びて立っていた。エンジンが止まり、夢は冷めた。
お昼過ぎに東京に戻る。香水に包まれた女性達と電車に揺られながら、我が身のまぬけをふりかえる。爪の間に入った土や、ゴーグルの痕のついた目の下辺りが恥ずかしい。東京に帰る日は、きれいにして帰ること。疲れて自宅に帰ると家事をする気力が失せるから、東京に戻る日に草刈りはしない。自分で作ったルールを忘れていた。
深い疲労。夜はおぬまさんの奢りで、もんじゃ焼きを食べに行った。
……石も土も、顔にバチバチ当たる。日が高くなり、熱が一斉に地表を燃え上がらせる。草刈りだって、草の命を奪う以上、重要な他の仕事と同一の条件で出来ている。仕事は奪うことだ。世界から奪いとって自分のものにすることだ。創造ではない、略奪だ。目に映る何もかもを自分そのものしてしまうこと………顔も身体も、全身に草の飛沫を浴びて立っていた。エンジンが止まり、夢は冷めた。
お昼過ぎに東京に戻る。香水に包まれた女性達と電車に揺られながら、我が身のまぬけをふりかえる。爪の間に入った土や、ゴーグルの痕のついた目の下辺りが恥ずかしい。東京に帰る日は、きれいにして帰ること。疲れて自宅に帰ると家事をする気力が失せるから、東京に戻る日に草刈りはしない。自分で作ったルールを忘れていた。
深い疲労。夜はおぬまさんの奢りで、もんじゃ焼きを食べに行った。
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