文文執筆陣のキシタケ氏が、暗闇からぬっと現れた。かなり長いこと会っていなかったので、キシタケ節の声色も変になつかしい。コーヒーを飲み、お菓子をつまみながら、隣の部屋で話をしている。おぬまさんが笑っているのが聞こえる。もう少しで12時になるので、席を立ってパソコンに向かった。今日付の日記を書こうとするが、指が動かない。彼はここの日記をほとんど読んでいないそうで、たまにチェックだけはしてくれるそうだ。身近な人の正直なコメントは、意外に勇気を奪われるものだ。ありがたいことなのである。心がざわざわして、後ろで笑い声があがる度に、字を消したり書いたりして、考えられない。部屋の窓をあける。冷たい風がすうっと入ってきた。突然ドアが開いて、八歳の娘がパジャマ姿で現れた。「ママ、ねむれないの」今夜は文章にならない。諦めた。
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