上野駅に着くと、ガラスの箱に入れられた巨大パンダがいつも出迎えてくれる。パンダってあんなに大きい生き物だったっけ?目をそらした場所に、崎陽軒の焼売が売っている。いつか一折買ってみようか、と思いつつ、この八年間、ただの一度も実行した事がない。
自宅に向かう道は、山の手線のゆるやかなカーブ。有楽町線の真暗な穴の奥の奥。階段につぐ階段。のんびりした公園通り。自宅に着くとおぬまさんは留守だった。娘と帰りを待つが、音沙汰なし。
バレエの自主練習をしていたら、深夜にチャイム音。新聞勧誘員の若そうな声が、半ば泣きつくように「研修期間なんですけど、新聞お願いできませんか。どうにかなりませんか」とドア越しに懇願してきた。お断りしたが、必死だ。続く押し問答をこちらから打ち切った。最悪の場面だ。どんな日でも越えていかなければいけない。ああ、酷い、とお互いに呟く事しか他に出来ることもない。その場から立ち上がり、煙草を続け様にバカバカと吸った。背中を伸ばして、指先を遠くに向ける。目線は遙か彼方へ。この現実を忘れずに。
自宅に向かう道は、山の手線のゆるやかなカーブ。有楽町線の真暗な穴の奥の奥。階段につぐ階段。のんびりした公園通り。自宅に着くとおぬまさんは留守だった。娘と帰りを待つが、音沙汰なし。
バレエの自主練習をしていたら、深夜にチャイム音。新聞勧誘員の若そうな声が、半ば泣きつくように「研修期間なんですけど、新聞お願いできませんか。どうにかなりませんか」とドア越しに懇願してきた。お断りしたが、必死だ。続く押し問答をこちらから打ち切った。最悪の場面だ。どんな日でも越えていかなければいけない。ああ、酷い、とお互いに呟く事しか他に出来ることもない。その場から立ち上がり、煙草を続け様にバカバカと吸った。背中を伸ばして、指先を遠くに向ける。目線は遙か彼方へ。この現実を忘れずに。
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