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人間になればよかった...
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こつこつと学生の原稿に手を入れてみる。書き慣れていない人の脚本の意図を読み解く作業は造作ない。凄い作家になってくるにつれて、こちらの頭をかき回される気がしてくる。脚本も、紙切れではなく人体の一部ではないかと疑っている。
朝は少し寝過ごした。起きても頭痛が残っている。居間の片隅で水音をたてているメダカの水槽を覗きこむと、透明な体が徐々に育ってきて、小さいくせにメダカの形そのものになっていた。数えてみると20匹は孵った様子。ずっと水槽で飼うつもりだから、この透明な軍団は外敵と一度も出会ったことのない、人生ならぬ魚生を送ることだろう。考えようによっては羨ましいし、退屈なことだ。当人ならぬ当魚は、私達人間のことをガラスの奥で割り箸を差し込んだり、水を足したりしている様子を、自然そのものだと思っているのだろうか。
そんなことを考えたのは、学生の脚本を読んだからなのかも知れない。私が出会った学生さん達の脚本には、外敵を待っている、そういう意図に読み解かれる作品が多く書かれているのだった。
お昼に東京に戻る。本屋で娘の好きな漫画を買い、鯛焼きを買い、自宅に駆け足で帰る。「この本を読んで待ってるんだよ。鍵をかけてしまうから、勝手に外に出てはいけないよ。2時間で帰ってくるよ」七歳の娘はごきげんで手をふる。留守番をしてもらう時は不安になる。子供を一人で家に残すのはまだ心配な歳だが、どうにも仕方がない。電車を乗り継いで夕方、S駅で映画学校の学生さん達と合流する。日曜の喫茶店はどこも満員だったので、不良のように道ばたにしゃがみこんで、脚本の細部について考えるままに皆で意見交換する。
大幅に帰り時間をオーバーした後、自宅へ戻る。娘が飛びついてくる。毎日を考え続ける。それだけが全てのバラバラのピースを繋ぐ唯一の道だと信じる。
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