朝起きて、子供に朝ご飯を食べさせていると電話。H町駅の親しい友人からだった。声がせっぱ詰まっているので、朝のラッシュ時間に家を出て、電車で彼女の元へ向かう。昨日会った同期が、彼女はどうしてると一言話題を振ってくれたっけ。彼女に話してやったら喜ぶだろうなと思いながら、いつもの喫茶店に向かった。会う前の店の気配で、最近ではもう彼女の体調まで判るような気がする。今日は彼女のかかりつけの病院へ付き添い、薬の話など聞いた。焦らず気長に治していけばいいよ、と彼女に言うと、治るかなと言う。彼女の喉もとが脈打っているのが見える。時間はかかるけど必ず治ると思うよ、と言ったら、彼女は嬉しそうな顔をした。
夕方に家に戻る。娘を歯医者に連れて行って、待合室で赤ちゃんみたいなオルゴール曲を聴いていたら、物凄く眠くなった。
夕方に家に戻る。娘を歯医者に連れて行って、待合室で赤ちゃんみたいなオルゴール曲を聴いていたら、物凄く眠くなった。
朝起きて、お札の皺にアイロンをかける。家族三人で新しい服に着替えて、E駅の店で行われる友人Uちゃんの結婚披露宴に参加した。会場は小さなハワイアンレストランで、座る場所がないほど大勢の祝い客でごったがえしていた。複数の元同期生と端のテーブルを囲んで、花婿と花嫁の晴れ姿を横位置から見せてもらった。人の隙間から見える花嫁の横顔はとても優しげで、静かな物腰だったのに対して、花婿は自分で司会進行も兼ねていたので、マイクで喋りながら自らの式を進めるというアクロバティックな雄姿を見せていた。だから花婿の声がずーっと聞こえた。二人はいい相性なんだろうなと感じた。披露宴には意外に、のちの結婚生活を暗示するものが含まれる気がする。二人の流儀というのがもう披露宴の時からあるような気がするのだった。Uちゃん、楽しそうなGくんと末永くお幸せに。
今週末は予定があったので、茨城には行かずに自宅で朝寝坊。怖い夢がどこまでも延々と続いて、追いかける内に随分長く眠っていたらしい。必死に走り続けて、行き止まりの金網に両手をかけて、そこで目が開いた。空腹を我慢して漫画を読んでいた娘が、嬉しそうにママがやっと起きたよ、と言った。伸ばした手には枕のカバーが握られていた。
半ば眠る目で焼きお握りを作りながら、この日常の当たり前な感覚を、窓外の晴天に重ね合わせてみる。なんてことはない、私は私の身体を守るためだけに存在しているらしいのだった。それ以外の用事は、おそらくは存在しないのだろう。本当すぎる事はだから、考えるには及ばない判りきった事なのだ。その用事を自分自身と呼ぶには、あまりに不気味すぎ、無目的すぎるのだから。
半ば眠る目で焼きお握りを作りながら、この日常の当たり前な感覚を、窓外の晴天に重ね合わせてみる。なんてことはない、私は私の身体を守るためだけに存在しているらしいのだった。それ以外の用事は、おそらくは存在しないのだろう。本当すぎる事はだから、考えるには及ばない判りきった事なのだ。その用事を自分自身と呼ぶには、あまりに不気味すぎ、無目的すぎるのだから。
一日、何もしないで座っていた。夜になって初めて外出すると、街灯が木々を照らしている。馴染みのスーパーは閉まりかけていた。買ったことのない肉屋にそーっと入ると、中にいたおじさんが、はっとしたように、いらっしゃいと言った。挽肉はありますか、と聞いたら、ちょっと待っててね、今挽いてあげますから、と言って、大きな冷蔵庫からピンク色の肉を取り出した。いつも看板の前を素通りするおじさんの店の商品が、新鮮なのか心配だった。遅い時間に迷惑な客だと思われていやしないかと、どんどん心配になってきた。おじさんは手で肉をすかすか切って、グラインダーでミンチ肉を作ってくれた。そして量りに乗せたら、注文ぴったりの500グラムだった。ぴったりでしたね、とおじさんは笑った。