茨城から東京に戻ると、都議会選挙の投票日だった。夕飯のあと、家族三人で小学校へ歩いて向かった。夜の散歩が娘には嬉しいらしく、今日はとっておきの秘密を見せてくれると言う。通学路の途中、殆ど目に止まらない鉄柵の一カ所に、ぺらぺらの薄いリボンが結ばれていた。2年前、転校した親友の女の子と2人で結んだものだという。聞いて驚いた。ただ固結びしただけのリボンが、よく通行人に見つからなかったものだ。娘は、これが卒業になるまでほどけなかったら、友情は永遠だ、って二人で決めた、という。何度もここを通っているが、まったく気に留めた事もない鉄柵だった。
誰かに解かれたら、それでおわり、という説明だった。鉄柵から離れると、緑の茂みに完全に囲まれて、再び見えなくなった。
それはいかにも頼りなく見え、でも確かに隠れている気もしてきて、こんなどうでもいい道ばたの場所に、運命をいきなり賭けるなんて、神は細部に宿るの格言みたいだな、と思ったのだった。
誰かに解かれたら、それでおわり、という説明だった。鉄柵から離れると、緑の茂みに完全に囲まれて、再び見えなくなった。
それはいかにも頼りなく見え、でも確かに隠れている気もしてきて、こんなどうでもいい道ばたの場所に、運命をいきなり賭けるなんて、神は細部に宿るの格言みたいだな、と思ったのだった。
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