家のバターが、とうとう尽きた。大切に10グラムずつ切っていたが、最後の一切れがフライパンで溶けるのを見送った。もう当分は食べられないだろう。空き箱をしばらく眺めた。
暮らしは世界と繋がっている筈だけど、実感はバターの一切れだけで、窓をあけて、食事パンをこねていると、外は何事もなかったかのように静まっている。赤ちゃんの声がして、誰かが風呂に入っている音も聞こえる。知らない人達が同じマンションで暮らす日常の音だ。バターなしで焼いたパンを娘とおやつにして食べた。おいしいを連発する娘を眺めながら、日曜日らしい、いい日になったな、と嬉しくなる。
夕方になって、パソコンの新聞記事を見ていた相棒から、秋葉原で通り魔事件が起きていた事を聞く。パンを焼いていた頃だ。テレビをつけると、犯人が取り押さえられる瞬間の写真が映っていた。動機は社会への不満で、殺す相手は誰でも良かったとの供述。
暮らしは世界と繋がっている筈だけど、実感はバターの一切れだけで、窓をあけて、食事パンをこねていると、外は何事もなかったかのように静まっている。赤ちゃんの声がして、誰かが風呂に入っている音も聞こえる。知らない人達が同じマンションで暮らす日常の音だ。バターなしで焼いたパンを娘とおやつにして食べた。おいしいを連発する娘を眺めながら、日曜日らしい、いい日になったな、と嬉しくなる。
夕方になって、パソコンの新聞記事を見ていた相棒から、秋葉原で通り魔事件が起きていた事を聞く。パンを焼いていた頃だ。テレビをつけると、犯人が取り押さえられる瞬間の写真が映っていた。動機は社会への不満で、殺す相手は誰でも良かったとの供述。
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