別に今更そんなこと、と人は笑うかも知れないが、コンビニで接客しながら、店員の私は危険から身を守る意味でも、笑顔は大切だと思うのだった。接客に使う明るい声も笑顔も、店員にとってのライフガードであるのかも知れない。何かされた訳ではないけれど、レジ台を挟んだ距離がありがたい、という気持もあるのだった。
今日はそんなことを思いながらレジに立っていたら、常連さんの一人が何となくひょろひょろやってきた。特徴的な帽子を被った、伊達男といった風情で、年齢は還暦越えたばかりとご自身で言っていた。週一しか働いていない私だが、初対面で名前を名乗られたので、Oさんという名字まで知っている。いつも新型の携帯を見せびらかしたり、若いお嫁さんをもらった話などして、伊達な話題なのだけど、今日は『よお、ねえちゃん久しぶりだな』と言ったきり、何処かいつもと違う気がしたのだけど、財布を取り出しながら『オレの、長男が、死んでさ』と急に言った。えっ、と聞き返すと『これから、病院の支払いに行ってくるんだ』と、本当だという感じがした。何と言っていいか判らず、隔たっているレジの棚を感じながら、お寂しいですね、とようやく言葉が出たが、Oさんは不思議な表情で『まあ、まだ、次男が残ってるから』と答えた。話してどういう反応が欲しかったのか、何故それをコンビニの店員に話す気になったのか、判らなかったけれど『ありがとう。またくるわ』と言ってOさんはひょろひょろ歩き出した。その後しばらくは、なんとなくその関わりが胸に残って、今もひっかかっているのだった。
今日はそんなことを思いながらレジに立っていたら、常連さんの一人が何となくひょろひょろやってきた。特徴的な帽子を被った、伊達男といった風情で、年齢は還暦越えたばかりとご自身で言っていた。週一しか働いていない私だが、初対面で名前を名乗られたので、Oさんという名字まで知っている。いつも新型の携帯を見せびらかしたり、若いお嫁さんをもらった話などして、伊達な話題なのだけど、今日は『よお、ねえちゃん久しぶりだな』と言ったきり、何処かいつもと違う気がしたのだけど、財布を取り出しながら『オレの、長男が、死んでさ』と急に言った。えっ、と聞き返すと『これから、病院の支払いに行ってくるんだ』と、本当だという感じがした。何と言っていいか判らず、隔たっているレジの棚を感じながら、お寂しいですね、とようやく言葉が出たが、Oさんは不思議な表情で『まあ、まだ、次男が残ってるから』と答えた。話してどういう反応が欲しかったのか、何故それをコンビニの店員に話す気になったのか、判らなかったけれど『ありがとう。またくるわ』と言ってOさんはひょろひょろ歩き出した。その後しばらくは、なんとなくその関わりが胸に残って、今もひっかかっているのだった。
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