いつもより一本遅らせた電車は、11両編成ではなく7両編成になっていたから、娘と並べる二人分の座席は空いていなかった。一番後部の車掌室手前のスペースにしゃがみこんで、娘を膝に乗せて話し込んでいると、こうしていられる時間はどの位あるだろうと思う。娘の手足は未だ小さいが、握っていると堅い骨が感じられて、随分とお姉さんになったのだと知る。普通の暮らしよりは二人で手をつないで小旅行する機会が多くて、この子が赤ちゃんの時からこうして往き来しているのだから、私は娘の手のひらの感覚をかなりしっかりと我が手にも残しているのだった。この茨城往復生活は、自分が知らないうちに多くの恩恵を受け取っているに違いない。
春の日差しが斜めに流れていく。たあいもない話を一時間続ける。
春の日差しが斜めに流れていく。たあいもない話を一時間続ける。
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