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人間になればよかった...
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茨城、土曜日。玄関先で、枯葉色に変色したカマキリがじっと太陽を浴びていた。腹は平らになり、ボロボロにちぎれた羽で、動きが鈍い様子からいっても、今日中に死ぬのだろう。最後の日光浴といった風情だった。
娘が走ってきて「残り少ない命を、大切に味わうんだよ。かまきりちゃん」と声をかけた。カマキリは少しも動かず、羽だけがかすかな風で揺れていた。娘は「あー、今、ひさしぶりに、しみじみした」と言って、両方の足をバタバタ動かした。
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「全生とは病を得て、それを活かすこと」(野口晴哉)。
夜、娘の手をひいて、上野駅の特急に乗る。フレッシュひたちの座席は背もたれの部分が三段階で後ろに倒せるようになっているが、前の座席の人は、大抵はサラリーマン風の男性で、背もたれのレバーを全開にして倒す。新幹線と違い車内がさほど広くない特急で、この機能がついているのは不思議だが、どの席に座っても、自分達の前の人はかなりの確率で全開で倒す。つまりは、女子どもであるからなのだろう。本日の後頭部は、白髪混じりで五十代に見えた。
夜景の灯が奇麗だった。闇の中、煌々と輝いている。娘と二人で塩味のゆでたまごを食べた。向こうからやってきた電車とすれ違った。向こうでも、窓の外を見ている人が沢山乗っていた。
リポビタンDという飲料を一瓶飲んでみた。興奮する。足元がふわふわする。もうどうしていいか判らない。歩いていて意味なく走り出したくなる。電車に間に合わないふりをして、ちょっと走ってみる。こんな妖怪いたっけなと走りながら思う。走れるということは、潜在的な体力があるんだと思う。魔法ノ薬だ、と思う。あらゆる怖ろしいものから、遠ざかっていたい。興奮は助かる。薬に助けられた。
お陰で習い事のバレエも、踊って踊って、無事に終える事ができた。
日記を書こうとして、何もせずに画面を見ている時間が、また長くなった。何時間もそんな風になってしまうので、寝不足になっている。素晴らしいことを書きたい訳ではない。今日のサイズに合った丁度いい日記を、そのまま書いて終わりたい。ただ、頭が真白になっていて、言葉が出ないのだ。何日でも、こうして座っていたらいいのかも知れない。なんにも判らない。判りたいし、ねむたいし、判らない。なにか判るかと思って、指を動かしている。
100のバイト。気のせいだといいのだけど、なんとなく、お客さんが減った気がする。来てくれても、一人当たりの金額が低いように思う。今日はたまたま貧乏なお客さんばかりなのだろうか?と一瞬、黒い感情が心をよぎっていった。今日は天気も良いのだけどな、と思いながら、早くも汚れてきたレジ台を雑巾で丁寧に拭き、合間をぬって外を箒で掃いた。新しくリニューアルした事が原因なのだろうか。それとも今日だけ別の要因で来ないのだろうか。
ただ、焼き芋は、飛ぶように売れている。
もっと簡単に、鉛筆で描いた線でよいから、具体的な形で記せるようになりたい。簡単に考えてみたところで、人生は簡単にはならない、と言ったのは小林秀雄だった。口の中で呟いてみると、自分は同じ所を回っているのだ、という、いつもの結論しか出ない。私には、雑草のようにそこら辺で息絶えているような、道が待っているように思う。
朝は茨城、昼過ぎには東京。毎週しているのと同じ時刻、1時15分に立ち上がって、身支度を調える。娘と義母が出発の時間になっても姿を見せない。部屋の中からピアノの音が聞こえた。あと、5分、あと5分、と歌を歌いながら、庭を見に行った。青すぎるような空に、紅葉した樹の葉が、風に揺れて綺麗だ。
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