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人間になればよかった...
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道具は、結局ずぶ濡れになっていた。昨日の続きなんて誰も気にしてないさ。
1ミリずつ、少しずつ生活が進んでいく。夕方東京に戻る。今晩の日記は食べた天ぷらについて書こうと思う。

天ぷらは小沼家には特別な思い入れのあるメニューらしく、毎週のように食べていた家庭の味だったらしい。結婚してから私は天ぷらを上手に揚げる必要に迫られた。ちなみに私は実家で天ぷらを食べた経験が皆無だった。
煮えたぎる油をじっと見ていると、追い詰められるような気がした。味のイメージがまるでない。失敗を繰り返すこと十数回、天ぷらノイローゼになる手前で凄い人が現れた。茨城で法事があった時、天ぷら上手と親族の間で評判のおばちゃんが、いとも易々と、素晴らしい天ぷらを揚げていたのだ。私はその名人に教えを請うたのである。
おばちゃん曰く、素材のスライスした厚さに勝負がかかっている。厚く切ったら衣が油を吸ってしまう。薄く切ったら、食べた時に具合がよろしくない。素人がおいしく天麩羅を作る為には、とにかく厚さが適正であること、これが一番肝要だということだった。そして油の温度は、揚げるというより、煮るようなかげんで、ことこと、ことことと揚げれば良いのだという。油はどこにでもある安い油でよく、油を切る紙も名人は新聞紙でやっていた。「いつ油から引き揚げたら良いですか」と聞くあざらしに「箸でぶすっと刺せばいいんだ」とこれまた無造作な解答がかえってきた。出来上がった天ぷらは、出来たては勿論のこと、翌朝になっても油がほとんど滲んでおらず、冷たいまま食べても非常においしかった。
材料を切る時に細心の注意を払うようになってから、あざらしの天ぷらは格段に良くなり、今は目をつぶっていても天ぷらを揚げられるようになった。今まで不得手だった方、ご参考まで。
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