相棒に頼んで、東京観光の大本命A駅に行き、人力車に乗った。今取り組んでいる仕事に出てくるので、一回乗ってみようという話になったのだ。あえて女性の車夫さんに声をかけて30分間乗せてもらった。初めは通行人皆がこちらを見ているようで恥ずかしかったのだが、その内に慣れてしまった。座席は狭く、速さは自転車より遅い。バスや乗用車の真後ろもすいすいと渡っていく大胆不敵さには驚いた。しかし二人乗せて曳くのは重労働に違いなく、後半の車夫さんはさすがに息が切れていたようで、申し訳なかった。
家に帰ってから、相棒が娘を外に連れ出してくれたので、一人で閉じこもって書き仕事をした。あまり時間がなくて焦っていたのだけど、今日は少し進める事が出来た。
家に帰ってから、相棒が娘を外に連れ出してくれたので、一人で閉じこもって書き仕事をした。あまり時間がなくて焦っていたのだけど、今日は少し進める事が出来た。
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義母と娘と三人で、日曜の儀式。大抵同じ時間に、同じホームの同じ立ち位置で、東京行きの特急電車を待つ私達は、到着する先頭車両の色を賭けることにしている。青、緑、黄、ピンクのどれかで毎週色が違う。娘が幼稚園の時に始めて、もう4、5年はやっているが、私達は法則を見つけだす事が出来ない。いやむしろ、見付かる事は望んでいない気がする、娘は真剣勝負だが、私達大人は真剣を装う。今日は寒く、皆で震えながら、電車の色を話し合う。音がして、やがて、昼間からライトをつけた巨大な電車が滑り込んでくる。今日は青で、義母が当てた。誰が当たっても、残った人でおめでとうを言う。
義母は4回連続で当てた事がある。その時義母は笑いながらうろたえてしまって、なんでだっぺ、こんなに当たってしまって、と言ったのだった。
義母は4回連続で当てた事がある。その時義母は笑いながらうろたえてしまって、なんでだっぺ、こんなに当たってしまって、と言ったのだった。
あまり面識のないお母さん達とお茶をした。自分が好きなこと大事にしていることは、本当に私だけの厳格なルールで、一歩隣に行けば、全く違うルールで暮らしている人達が無数にいる。地元の名士、有名校、子供の塾、受験と、学校行事等の話題が良く出る。非常識な話題をふらないよう気を付けた。とにかく皆に褒められる、趣味を褒められる、娘を褒められる、持って行ったケーキを褒められる。褒められるのは勿論ありがたいことだけれど、こちらも相手を沢山褒めなければバランスが取れないから、会話がヘリウム入りの風船のように浮かびあがっていく気がする。未知の人間と話をする時は、互いに協力して当たり障りのない喜びを交換する、それは大人の態度だと思う。百も二百も承知で、難儀する。