茨城の土曜日。娘と庭をかけっこする。たった五分で、娘はあー運動したー、と言って満足気にしゃがみこんでしまった。9歳の若さで今からそんなことで、この先大丈夫なのだろうか。家に戻るなり、こたつの間で漫画を読んでいる。
仕方なく、足元に転がっていた新聞を広げてみると、大企業の収入減、倒産、の文字ばかりが縦横に紙面を覆っている。窓の外は木の枝ばかり、10年前に亡くなった義父と一緒に見た植木が、あまり元気がない。庭石の配置はいつ見ても同じだけれど。
10年前、義父はここにいたし、娘はここにいなかった。しかし娘の頬の形は、義父の横顔にすこし似ている。
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