慣れた手つきで茨城をあとにする。びゅんと、どこでもドアで東京に戻る。しまった。携帯電話を玄関に忘れてきちゃった。慌ててドアノブをがちゃがちゃ回すが、時すでに遅し。バイヤーのD氏から正規品を買うべきだった。来週の金曜に茨城に行くまで、携帯電話なしの生活だ。
携帯を無くしてみると、実に静かだ。反面、なんとなく落ち着かない。とても心配だ。携帯でしか連絡手段を知らない相手というのは意外に多いのだ、と初めて気がつく。それに、自分には緊急に電話をしてくる相手が二人いて、その人達にもし不測の事態が起きたらどうしよう。月、火、水、木、金。指折り数えて不安をつのらせる。五日間はとにかく神仏に祈って、相手の無事を祈って暮らすことにしよう。
夜、おぬまさんは原稿書きの仕事で苦しそう。気分転換に、娘と私と三人で近所の神社のお祭りを見に行く。人でごった返している中、鈴を鳴らしてお参りする。一番奥の高い場所に、丸い鏡のような御神体が少しだけ見えた。1円だの5円だの小銭だけを入れて、祈ることが沢山ありすぎては、などと余計なことを考えているうちに、なにも思い浮かばずにしまった。ただ無言で一礼して去る。祈りを一つに絞るなんて離れ業は、この先だって出来そうにない。
携帯を無くしてみると、実に静かだ。反面、なんとなく落ち着かない。とても心配だ。携帯でしか連絡手段を知らない相手というのは意外に多いのだ、と初めて気がつく。それに、自分には緊急に電話をしてくる相手が二人いて、その人達にもし不測の事態が起きたらどうしよう。月、火、水、木、金。指折り数えて不安をつのらせる。五日間はとにかく神仏に祈って、相手の無事を祈って暮らすことにしよう。
夜、おぬまさんは原稿書きの仕事で苦しそう。気分転換に、娘と私と三人で近所の神社のお祭りを見に行く。人でごった返している中、鈴を鳴らしてお参りする。一番奥の高い場所に、丸い鏡のような御神体が少しだけ見えた。1円だの5円だの小銭だけを入れて、祈ることが沢山ありすぎては、などと余計なことを考えているうちに、なにも思い浮かばずにしまった。ただ無言で一礼して去る。祈りを一つに絞るなんて離れ業は、この先だって出来そうにない。
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