目の充血が治った。まだ少し痛むけれど、これなら仕事も出来る。眼科……は、ためらわれたので、一日中眼鏡をかけて過ごした。目はなんとなく恐い器官だなあと思う。
そういえば、私の祖母は片方の目が義眼だった。糖尿病を悪化させて目を失った気の毒な経緯だったが、手術の時の話を、布団で添い寝してもらいながら聞いたのが忘れられない。お医者さんが二人ががりで、鋏で、ばちんと目の両端を切るのだそうだ。祖母はその音を口で、ばちんと真似して言った。そして、義眼のいつも必ず正面を向いている目と、きちんと動く目の両方を私に向けて、寂しげに微笑んだ。
義眼は外すことも出来たそうだけど、祖母はそんな風な場面を見せたことはなかった。見てしまったら私はきっと物凄く怖がったと思う。孤独な人だったけど、私はおとなしい祖母が大好きだった。祖母は親に棄てられた子で、苦労だけで一生涯を終えてしまったような人だったと、大人になってから聞いた。ばちんの目は、きっと悲しいことばかり見てきた目だったと思う。
そういえば、私の祖母は片方の目が義眼だった。糖尿病を悪化させて目を失った気の毒な経緯だったが、手術の時の話を、布団で添い寝してもらいながら聞いたのが忘れられない。お医者さんが二人ががりで、鋏で、ばちんと目の両端を切るのだそうだ。祖母はその音を口で、ばちんと真似して言った。そして、義眼のいつも必ず正面を向いている目と、きちんと動く目の両方を私に向けて、寂しげに微笑んだ。
義眼は外すことも出来たそうだけど、祖母はそんな風な場面を見せたことはなかった。見てしまったら私はきっと物凄く怖がったと思う。孤独な人だったけど、私はおとなしい祖母が大好きだった。祖母は親に棄てられた子で、苦労だけで一生涯を終えてしまったような人だったと、大人になってから聞いた。ばちんの目は、きっと悲しいことばかり見てきた目だったと思う。
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