娘が昼過ぎから軽い熱を出して、まずいなと額に手をあてながら思う。仕事やらなきゃ、仕事、仕事と思いながら傍に付き添う。普段は生意気な娘が赤い顔でくうくう寝ているのを見て、仕事、と思い、仕事が気になって中腰に立ち上がるとぎゅっと手を握られる。娘、娘、と思いながら手を握りかえす。こうなったら夜に死ぬほどアイデアを出して遅れた時間をとりかえすことにしよう。うまくいっているのだし。そんな風にいつも希望的観測で問題を先送りしてしまい、あとさき考えず持ち時間をどんどんと使ってしまうのだ。
夜、娘は回復して眠ってくれた。深夜、寒い廊下に出て頭を冷やしていると、死ぬほどアイデアを出す時間が来た。靴もはかずに外に飛び出してみようかと思い立ち、玄関の戸に手をかけたら鍵がかかっていた。夜はあと数時間残っている。いもしない登場人物達に向けて、怒りがこみあげてくる。いもしない人達がどう喋るか、判るものか。皆喋ってよ、お願い、プリーズ。朝日を見る頃、鍵をあけて外に出てみよう。靴はもうどっちでもいい。
夜、娘は回復して眠ってくれた。深夜、寒い廊下に出て頭を冷やしていると、死ぬほどアイデアを出す時間が来た。靴もはかずに外に飛び出してみようかと思い立ち、玄関の戸に手をかけたら鍵がかかっていた。夜はあと数時間残っている。いもしない登場人物達に向けて、怒りがこみあげてくる。いもしない人達がどう喋るか、判るものか。皆喋ってよ、お願い、プリーズ。朝日を見る頃、鍵をあけて外に出てみよう。靴はもうどっちでもいい。
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