道を歩いている人達の洋服の色が、あるべき所にあり、いるべき所に配置されているようで、いったんそう思い始めると、建物も電柱も完璧な高さと低さで構成されて、空を横切る電線のたわみまでも、見事。
雲の位置まで、実によく作ったものだ、と、思いながら次第に気味悪くなり、早く元に戻らないと、人と笑い、人と泣く生活ができなくなる、と埒もない事柄を大真面目に考えて、家に帰して下さい、醒めたいです、と誰かに向けて敬語でお願いする。この悪夢の何処にスイッチがあるのか、自分の背中を手探りする。突起があるのに手が届かない。
夕立よりまだ悪い。空に血の色が混じってきた。
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