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人間になればよかった...
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相棒と電車に乗ってI駅へ行く。映画『レスラー』を観た。劇場にはお客さんが沢山並んでいて盛況だった。ミッキーロークの風貌は、全盛を過ぎたレスラーという設定に対し充分に説得力があって、物語への感情移入を妨げるものがなかった。汚く着古したベストも、分厚い背中も本物に見えた。このディテールのきめ細かさ、それだけで圧倒された。
私はプロレスファンとは言えないけれど、立ち上がれない選手の頭部を蹴り続けるようなレスラーの不気味な二面性、暴発する性格、リングを離れている時の普通以上の人の良さを、とても興味深く思う。レスラー的としか言いようがない人達だ。何故?と人に聞かれても、答えに窮するに違いない心性。監督は主人公を通して彼等の言い難い思いも上手に代弁していたように思う。
また、日本でプロレスを嫌っていない方達なら皆そうだったと思うけれど、私も、最近日本で亡くなったプロレスラーのM沢さんを直接に連想した。偶然公開時期が重なった事も、何か残酷な縁があったのかと思わずにはいられない。
映画の方は、中盤まではリング外ではつつましく暮らしているレスラーの日常が、ややコミカルに表現される。後半、心臓を病んだのちは、主人公の非というよりは、用意された死に追いやる為に、人物達の諍いがあったようで、何かせつない。
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