朝、H町駅の親しい友人から緊急コール。いつもの喫茶店ではなく、彼女の自宅へ直行した。洞窟のような湿った闇の感覚が全身に蘇ってきて、確かにこれはピンチだったなと思う。彼女とゆっくり話をして、瞳の色が落ち着いてきたのを見る。部屋の空気は単なる部屋の空気になり、心配事は小さく縮んでいく。私の身体から体温が発せられ、それに呼応して、彼女が私を感じ取っている。彼女の目は何かを考えているが、当然、こちらからは知り得ないものだ。
帰り道、長すぎるエスカレーターを延々と下りながら、私、彼女、私、彼女、と思う。何処に着くかは判らないが、確かにお互い共同作業で、今なにかを変えている最中にいる。
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