お酒を飲んで深夜に帰宅した。書く時間がたった15分で焦っている。
今日は朝からS駅の映画学校へ行く。先月お手伝いをした映画がついに完成して、発表会を迎えた。闇に字幕の文字がぬっと浮かび上がる。始まった。目を半分だけあけて、怖いような見たいような気持で、無事を祈る。
夕暮れ、学生達と講師の方々との飲み会に参加する。映画は課題を山のように残しながらも、初めてだらけの喜びはちゃんと映っていた。学生達は冗談ばかりいって笑っている。実習が終われば私は接触する機会もないだろう。短期間ながら胸の琴線に触れたゼミだった。中くらいの出会いだった。映画を続けていれば、何処かで互いを見かけることもあるだろうか。一期一会など一生好きになれない。
からっぽになって帰宅。おぬまさんと娘は、家で焼きめしを作って食べたとのこと。
今日は朝からS駅の映画学校へ行く。先月お手伝いをした映画がついに完成して、発表会を迎えた。闇に字幕の文字がぬっと浮かび上がる。始まった。目を半分だけあけて、怖いような見たいような気持で、無事を祈る。
夕暮れ、学生達と講師の方々との飲み会に参加する。映画は課題を山のように残しながらも、初めてだらけの喜びはちゃんと映っていた。学生達は冗談ばかりいって笑っている。実習が終われば私は接触する機会もないだろう。短期間ながら胸の琴線に触れたゼミだった。中くらいの出会いだった。映画を続けていれば、何処かで互いを見かけることもあるだろうか。一期一会など一生好きになれない。
からっぽになって帰宅。おぬまさんと娘は、家で焼きめしを作って食べたとのこと。
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集中した気持が途切れる、目が覚めると遠のく。毎朝別人になっている。出来る範囲で暮らしていくより他、仕方がない。
今日はストレッチ教室へ行く。行きと帰りでは、脚の長さが2センチ位違っている。だんだん背が高くなってきた。家に戻ると、朝目が覚めた時の布団のかたまりが転がっている。リビングのテーブルを見、ぐったりしたような気持で座った。実生活に従って暮らせばいいと、頭では理解したのだけど、そのやり方が疲れる。
おぬまさんの読みかけの本が、机に栞を挟んだまま伏せてある。……子供にも判る哲学書入門の本だった。ぐったりした気持で読む。何気なく1ページ目を広げて、パラリと紙を触ってみた。冒頭の言葉を見た。
三千年を解くすべを持たない者は
闇のなか、未熟なままに
その日その日を生きる
虚の世界を遠のかせると、その分逆流するようだ。印刷した字を指で触る。ここで喋っている人が、どうして他人でありえようか。
今日はストレッチ教室へ行く。行きと帰りでは、脚の長さが2センチ位違っている。だんだん背が高くなってきた。家に戻ると、朝目が覚めた時の布団のかたまりが転がっている。リビングのテーブルを見、ぐったりしたような気持で座った。実生活に従って暮らせばいいと、頭では理解したのだけど、そのやり方が疲れる。
おぬまさんの読みかけの本が、机に栞を挟んだまま伏せてある。……子供にも判る哲学書入門の本だった。ぐったりした気持で読む。何気なく1ページ目を広げて、パラリと紙を触ってみた。冒頭の言葉を見た。
三千年を解くすべを持たない者は
闇のなか、未熟なままに
その日その日を生きる
虚の世界を遠のかせると、その分逆流するようだ。印刷した字を指で触る。ここで喋っている人が、どうして他人でありえようか。
大切な本棚を見回して、哀しくなる。自分を受け入れてくれた、いや勝手に親近感を感じてきた、これらの世界は、すべて虚、だ。本当のわたしの主人は、実、世界だった。それが判って、幾分かすっきりしたけれど、こんなことが本当に知りたかったのか、なぜ判ってこんなに落胆しているのだろう。
東京に戻ると、夕暮れで、娘といつものように、カートをばかでかい音をさせながら引きずってきた。歩いた距離の正確な分だけ、前に進む実世界。等身大に縮んで、これで丁度いい筈だ。人との付き合い方、生活の仕方、全ての尺度を変更して暮らす。やってみて上手くいかないかも知れない。元々、文章は思い出しながら再現するものだ。今は深夜だけれど、こうやって考えたのは、夕方だもの。
今聞こえたのは、カートの音が、本当に、ばかでかいことだ。
東京に戻ると、夕暮れで、娘といつものように、カートをばかでかい音をさせながら引きずってきた。歩いた距離の正確な分だけ、前に進む実世界。等身大に縮んで、これで丁度いい筈だ。人との付き合い方、生活の仕方、全ての尺度を変更して暮らす。やってみて上手くいかないかも知れない。元々、文章は思い出しながら再現するものだ。今は深夜だけれど、こうやって考えたのは、夕方だもの。
今聞こえたのは、カートの音が、本当に、ばかでかいことだ。
今日は茨城で過ごす。
今までは、字を書くことは、自分の混乱した意識を整理してくれると感じていた。でもだんだん、そうではなくなっている。逆転してきたと思う。書く作業が、自分の調和を乱していくようになってきた。
字を書くことは、自分以外の白紙の地平線と接触することであると思っていた。でも、それも違ってきている。字は、どこまで行っても自分でしかなく、自分で接触しないものはやはり字においても接触する筈もない。端から消えていくだけの、砂のようなものだ。
自意識は、退屈な時間であれば眠り、興奮する時間であれば、未来まで快感を先取りしようとする。どこまでもブレて、定まる事がない。
整理するためでなく、地平と接触するためでもなく、記録する為でもなく。盲信でもなく。はけ口でもなく。ここを越えていかなければと思う。
今までは、字を書くことは、自分の混乱した意識を整理してくれると感じていた。でもだんだん、そうではなくなっている。逆転してきたと思う。書く作業が、自分の調和を乱していくようになってきた。
字を書くことは、自分以外の白紙の地平線と接触することであると思っていた。でも、それも違ってきている。字は、どこまで行っても自分でしかなく、自分で接触しないものはやはり字においても接触する筈もない。端から消えていくだけの、砂のようなものだ。
自意識は、退屈な時間であれば眠り、興奮する時間であれば、未来まで快感を先取りしようとする。どこまでもブレて、定まる事がない。
整理するためでなく、地平と接触するためでもなく、記録する為でもなく。盲信でもなく。はけ口でもなく。ここを越えていかなければと思う。
娘は舞台の裾から飛び出してきた。おぬまさんと二人で、体育館の後方の壁ぎわから、じーっと観ていた。周囲では沢山の保護者の方がビデオカメラを回していた。我が家のカメラは、回して10秒で壊れている事が判明したのだった。
ああ。せめてよく見ておこう。
……壊れたビデオを止めて、目で直接、彼女の動きを追いかけた。娘の頭が、右にゆれたり、左にゆれたりした。人の影に隠れながらも、娘の姿はそれなりに見えた。
なんだか、楽しそうな子だなあ。
蝶、ねずみ、すずめ、たんぽぽ、もぐら、雲、太陽、みんなと肩を組んで、娘は、弾んで踊っていた。子どもの時だけ住む事の許される、明るい光の舞台に立っていた。娘は正真正銘の、小さな子どもだった。
きっとこの先も、娘の今日の姿を覚えていられるような気がした。
ああ。せめてよく見ておこう。
……壊れたビデオを止めて、目で直接、彼女の動きを追いかけた。娘の頭が、右にゆれたり、左にゆれたりした。人の影に隠れながらも、娘の姿はそれなりに見えた。
なんだか、楽しそうな子だなあ。
蝶、ねずみ、すずめ、たんぽぽ、もぐら、雲、太陽、みんなと肩を組んで、娘は、弾んで踊っていた。子どもの時だけ住む事の許される、明るい光の舞台に立っていた。娘は正真正銘の、小さな子どもだった。
きっとこの先も、娘の今日の姿を覚えていられるような気がした。