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人間になればよかった...
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B先生のストレッチ教室へ行く。身体の調子が変だなと思う。意志がくにゃっと折れてしまう感じだ。楽しんで、とか、気持ちよく、とかの言葉にのめり込むことが出来ない。昨日H町の親しい友人と行った病院のロビーと、この明るい稽古場を比較している。長く一緒にいたせいか、彼女に少し似た。B先生は帰り際に、私を呼び止めて、大きな段ボールの中から南瓜とじゃがいもを取り出して、頑張れよーと気軽な調子で渡してくれた。シューズやタオルと一緒に野菜の入った鞄を肩にかけて歩くと、重みがありがたさを身体に伝えてくれる気がする。駄目な日は駄目なりに。
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朝早く、H町の親しい友人からコール。電車を乗り継いで彼女の自宅に行き、一緒に病院まで付き添うことにする。人と話している最中は気持がしっかりする彼女は、少し力が出たのか、早足でホームを行き交う人達の間をぬってカツカツと歩く。普段全く利用する機会のない路線に一緒に乗って、見たことも聞いたこともない駅名を眺めながら、地下鉄の真暗なトンネルや、玩具のような小さな電車の座席を乗り継いで、その病院へ着く。
病院は異様な場所では決して無く、沢山の患者さん達を安心させている場所だというのがよく判る。歯をくいしばりすぎて頭痛がしている友人の隣で、何をするでもなく、じっと坐っていると、彼女の名がようやく呼ばれる。自分の名が呼ばれたようにはっとする。
賭けるというのはきっと、あきらめると希うを同時にするという行為なのだと思う。だからそれは投げ出されて凝視される。不安定な時間の後、彼女がドアから出てくるのを見て、また次の名前が呼ばれるのを聞く。
月曜、薄曇りのスタート。自宅で掃除洗濯をして過ごす。部屋の窓から見える木々の葉は、どんどん濃い深緑になってきた。生活は秩序が出来てきて、最小限の意志が育ってきた。それは自分自身の面倒を見るのに過不足ない量の意志で、三十を過ぎて言うことではないと思うが、ようやく自分をコントロールする努力が始まったのだと思う。予期しない感情に振り回されて、二次災害のように苦しみを生みだしていた以前の心は、声が四六時中騒がしくて、人生の沢山の時間をそれをなだめる為に使ってしまった。自分がしていた無駄な動き、取り越し苦労が判ってきたせいか、別のことに時間を使わなければ甲斐がないという風に最近は思うようになっている。
茨城のこたつの前で、なにも考えずに庭を眺めて、雨に濡れた地面や苔のついた石などを目に焼き付けた。カレンダーも同じ場所を見た。なにかを待っている訳ではなかった。特別な一日であるわけでもなかった。自分は自分を身体から追い出せないで負けてしまうのだと思った。その追い出せない自分を自分と呼んでも、世間では一向に差し支えない筈だった。
午前中は草刈り。雨の降りしきる午後、家の中でバレエの練習を伴奏音なしでやってみる。木曜日に起きた事をずっと考えている。バレエのS先生が自分に少し厳しくあたった。身体の力が抜けていますね、と言う。私は寝不足気味の日が続いていたので、知らずに手を抜いていたのだろう。隅々まで力が満ちた特有の動きをとらず、能か舞いのようなスーと抜けた動きで手足を動かしていた。もう歳なのかなあと冗談を言うと、先生は少し顔の色を変えた。それもあるでしょうね、ポワントレッスンは1ヶ月はお休みしたほうがいいかも、と言った。私が何か続きを話そうとしたら、先生はもう一人のレッスンに回ってしまった。自分はあそこで何が起きたか、もう判っている。
何をされたのかも判っている。私は先生に反射的に厳しくしなければと思わせる言動をとったらしい。ただの趣味で楽しんでいる生徒と判断されたなら、先生はバレエを中途半端にやったところで何も言わないだろう。先生の行動を意地悪ととるか愛情ととるかで、随分と人生の解釈が違ってくると思う。今度の木曜日は体調を整えて行こう。歳などという冗談ももう言わないことにしよう。
夜、茨城に到着。空はおぼろ月夜で、蛙の盛大な鳴き声が聞こえてくる。あれ蛙ですかと義母に聞くと、そうだよもう鳴いてるわと言う。田んぼの中で何を伝えあっているのか、牛のようにモーモーと騒がしい。あいつら皆で徹夜をするのだろうか。つい3日前までここにいたのに、もう季節が少しずつ様変わりしている。
そういえば、ここ最近は遭遇していないが、昔この近所を運転していて、誰も通らない道路の真ん中に何か落ちてるなと思ったら、仰向けになって蛙が死んでいた。奇麗な体のままで、大の字だった。びっくりして思わず急ブレーキを踏み、車を路肩に停めた。そのサイズといったら標準の猫くらいはあっただろうか。ショックだった。茨城の懐の広さに声もでなくなる思いがした。蛙にかかわらず、ここには、キジ、たぬき、蛇、など、意外な動物がごくごく稀に道を横切って現れる。
明日の天気予報は雨だそうで、草刈りも出来ないかなと心配になる。明日もなるべく前向きに過ごそう。
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