焼酎をぶら下げ、電車を一時間乗り継いで、恩師の住むC駅へ行く。わたしたち夫婦の大恩人T先生を囲んでの飲み会があり、全部で五人の少人数で養老の滝に集まった。先生は毎晩ここで一人で飲んでいるらしく、飲み屋の中はほとんど全員常連客、あの人ほんとうは偉い人なんだよ、という声が後ろから聞こえた。ぼろぼろのズボンを履いている先生は平然と飲んでいる。去年喜寿だったというので、皆でお金を出し合って買った焼酎と江戸切り子のグラスをプレゼントすると、先生は、ほんとうに嬉しそうに、もどかしげに包みを開き、グラスを天に掲げるようにして、おお、と言った。
皆、やったね。先生、いつまでもお元気でいて下さい。
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