バイト先で、今日は6本もサツマイモを焼いた。
帰り道にパンクした自転車を押して、1時間近く空想しながら歩いた。家の近所にある自転車屋さんに向かうと、無数の車輪の隙間から、せっせとオレンジ色の自転車を直している男性の顔が見えた。その人はぞんざいに立ち上がって、今忙しいので、あとで電話しますんで、と言ったが、その言葉には何の嘘もなく、愛想笑いなど一切しないのが、逆に気持良いくらいだった。電話番号を渡して帰ってきたが、接客というのは、笑えばいいというものではないな、人柄なんだと思った。コンビニで働く時、あんまり笑いすぎるのは止そう、と思った。それよりは、レジを通す速さや正確さや、店内の挨拶に集中しよう、と家に向かう途中の道で、晴れやかな気持になった。
3時間後に電話があり、安い料金できっちりと直ってきた。
帰り道にパンクした自転車を押して、1時間近く空想しながら歩いた。家の近所にある自転車屋さんに向かうと、無数の車輪の隙間から、せっせとオレンジ色の自転車を直している男性の顔が見えた。その人はぞんざいに立ち上がって、今忙しいので、あとで電話しますんで、と言ったが、その言葉には何の嘘もなく、愛想笑いなど一切しないのが、逆に気持良いくらいだった。電話番号を渡して帰ってきたが、接客というのは、笑えばいいというものではないな、人柄なんだと思った。コンビニで働く時、あんまり笑いすぎるのは止そう、と思った。それよりは、レジを通す速さや正確さや、店内の挨拶に集中しよう、と家に向かう途中の道で、晴れやかな気持になった。
3時間後に電話があり、安い料金できっちりと直ってきた。
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何でそんな話になったのか知らないが、10歳の娘が私達夫婦が死んだあとの葬式の話をするのだった。その時は子供でも喪主をやらないといけないの、と、娘は不安と笑顔とをまぜこぜにして、私に聞くのだった。そして、さらに空想が広がったのか、私が死んだら、クラスのみんなはどんな顔をするかなあ、と、言うのだった。早く寝ろ、と布団を引っ張って、彼女の口元を隠したが、彼女は布団の中から、おかーさんが死んだ時は、一緒に何を燃やしてほしいか言って、ねえ本当に教えて、と、もごもご聞くのだった。
さあ、なんだろう、サツマイモでも入れておいて、と娘に言って背中を向けると、娘は、イモかい!と憤慨して、駄目だよイモなんか、と真面目に言うのだった。
さあ、なんだろう、サツマイモでも入れておいて、と娘に言って背中を向けると、娘は、イモかい!と憤慨して、駄目だよイモなんか、と真面目に言うのだった。
バレエの稽古では、変人の自分も許されている気がする。夢見る夢子ちゃん、と棘のある声が胸のなかでうるさく鳴っているのだが、バレエの真面目さは、そういう惨めな時間を追い払ってくれる。別段、悪意を発揮した覚えもないのだが、在りようだけでも誰かの敵になることはある訳で、そのような場合、視界に入らないよう、なるべく離れるのが配慮のつもりで、ずさーっと後ずさるのだけど、ひとたび悪に認定されれば、なにをやっても、どう振る舞っても、相手は苛立ちをつのらせるばかり、しかしそれは不機嫌ということで、相手も理由を言わないものだから、なんだ、私の顔かたち、あるいは声の語尾の出しようか、ぬりかべのような背中か、いったい何が、気に障るのか、つまりは存在するなというか。
皆、口に出さないだけだ、もうひとつの世界のことを。それならそれで、もうひとつの世界では、書いたり、踊ったり、お喋りすることは、許されようか。
皆、口に出さないだけだ、もうひとつの世界のことを。それならそれで、もうひとつの世界では、書いたり、踊ったり、お喋りすることは、許されようか。