朝、誰かの怒号と罵声で目が覚める。居間に向かうと、サッカー中継の最中だった。
おぬまさんが元気いっぱいで応援に励んでいる。日本対スコットランドだった。私は音をたてないようにおにぎりと味噌汁を作り、起きてきた娘に食べさせた。
おぬまさん始め観衆の本気度はただ事ではない。一方私はというと、綺麗な緑の芝だなあと思うだけの人間である。皆で戦争やってるみたい。
これだけの観客の血走った目を一身に受けて、選手に蹴られているあのボールは何か考えているのかも知れない。内心はどちらの国を応援しているのか。
……に、ほ、ん。……に、ほ、ん。
「今日は、日本に運が向いている」とおぬまさんに言うと、おぬまさんは画面から目を離さずに小さく頷いた。
娘は学校に行き、私は茶碗を洗い始めた。絶対に負けられない戦いがそこにあった。サッカーはいつも絶対に負けられない戦いばかりしているな。もし勝ってくれたら、平凡ながらよい一日になりそうな気がした。
テレビからわあっと歓声があがり、ボールは高々とゴールの遥か上を越えて、明後日の方向へ行ってしまった。
おぬまさんが元気いっぱいで応援に励んでいる。日本対スコットランドだった。私は音をたてないようにおにぎりと味噌汁を作り、起きてきた娘に食べさせた。
おぬまさん始め観衆の本気度はただ事ではない。一方私はというと、綺麗な緑の芝だなあと思うだけの人間である。皆で戦争やってるみたい。
これだけの観客の血走った目を一身に受けて、選手に蹴られているあのボールは何か考えているのかも知れない。内心はどちらの国を応援しているのか。
……に、ほ、ん。……に、ほ、ん。
「今日は、日本に運が向いている」とおぬまさんに言うと、おぬまさんは画面から目を離さずに小さく頷いた。
娘は学校に行き、私は茶碗を洗い始めた。絶対に負けられない戦いがそこにあった。サッカーはいつも絶対に負けられない戦いばかりしているな。もし勝ってくれたら、平凡ながらよい一日になりそうな気がした。
テレビからわあっと歓声があがり、ボールは高々とゴールの遥か上を越えて、明後日の方向へ行ってしまった。
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