隣町に住んでいる小沼弟さんが、子育て中の鳥の巣を偶然見つけたそうだ。位置的に関連はないけれど、そっちには雛がいるようだから行こうと義母が言う。それで、車の修理屋さんから借りた代車を運転して見に行った。
そこは林がすぐ側にあって、マンションの二階、ガスのメーターがある小さい鉄の扉の内側に、草のクッションがはみだしている。覗くと、濡れたような毛が生えた雛がいた。かわいいねえ、と娘は目を輝かせて、携帯で写真を撮ろうよ、と義母に言った。
二人が写真を撮っている間、暗い事実に思い至って、気が滅入ってきた。目の前の雛は親を待って眠っている。野鳥の子とはいえ、二日か三日で移動なんて出来る訳がないのだった。あの間抜けな親鳥は、きっと雛を何かの形で失ったに違いないのだ。ああ、間抜け、間抜けめ、間抜けなやつ。何という失態。
また卵を産むといいよ。今度こそ、誰の目も届かない安全な場所で。
そこは林がすぐ側にあって、マンションの二階、ガスのメーターがある小さい鉄の扉の内側に、草のクッションがはみだしている。覗くと、濡れたような毛が生えた雛がいた。かわいいねえ、と娘は目を輝かせて、携帯で写真を撮ろうよ、と義母に言った。
二人が写真を撮っている間、暗い事実に思い至って、気が滅入ってきた。目の前の雛は親を待って眠っている。野鳥の子とはいえ、二日か三日で移動なんて出来る訳がないのだった。あの間抜けな親鳥は、きっと雛を何かの形で失ったに違いないのだ。ああ、間抜け、間抜けめ、間抜けなやつ。何という失態。
また卵を産むといいよ。今度こそ、誰の目も届かない安全な場所で。
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