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人間になればよかった...
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畑のさつま芋を収穫することにする。霜に枯れた葉だらけの畑を掘ってみると、化け物のような巨大な芋が半分埋まったまま頭を出している。娘は芋を指差して、げらげら笑っている。いくらなんでも育ち過ぎだ。曙か、小錦か、そういう芋が全部で30本ほどあった。
おぬまお母さんと枯葉を集めて火をたいた。茨城は農家が多いせいか、田んぼ、畑、個人の庭、あらゆる場所でたき火をする風景を頻繁に見かける。故郷の北海道では風が強過ぎて、火は滅多に扱えなかった。焼き芋は子供心をおおいにそそるものがあり、ぜひやってみたいものの一つだった。ここに来てから、あこがれの焼き芋を作る楽しさを知った。
70歳の義母と、8歳の娘、すべては完璧なバランスで、表面的には波も立たないように静かに過ぎていく。静かな記憶を貯えるように、作業の合間に魅入ってしまう。この記憶が将来どれほど役に立つか知れない。どんなに苦しい日が来ても、この静けさを覚えていたい。
二時間後、灰の山から煙が消えた。おぬまお母さんが、もういい頃だろうと言う。焼けた芋を割ってみると、ふっくらと芯まで火が通っていた。
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