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人間になればよかった...
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白紙の場所は、日増しに巨大化してきた。
今は書くことだ。もう他にはなんにも持っていない。自分があれもこれも持っていると思うのは間違いだ。とにかくやり続けること。
ひとつ考える。ひとつ消える。他のまわり道をまわる。その道は途中で枯れている。別の道を作ってみる。その道路はわりと長く進んだ。しかし継ぎ目に入ってから見失った。
字を書いて生きていくということは、ただ覚悟の問題なのだ。字は誰にでも書ける。文章は誰にでも作れる。また字も文も必要のない尊い人達が大勢いる。だから、ただ、自分一人の覚悟で、人生と文章は等価だと信じる。
巨大化した白紙に、ひとつ、穴があいた。次はもっと大きい穴をあける。明日はもっとましになろう。
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だいたいのところ、孤独にやっている。買い物の時、えのきを3袋買おうかなあ、と独り言を呟いた位で、あとは一日中黙っていた。
いつか読まなければならない本は沢山あるし、部屋の隅から隅まで掃除しようと思えば一日では済まない。……。何か上昇しない。鳥人間の失敗して出発直後に落ちた映像。そんな一日が終わってしまった。
こんな実りのない日でも、ささやかな出会いはあるものだ。
細々とした引き出しの掃除をしていたら、娘が書いた手紙が出てきた。持っている事も忘れていたけれど。
「 てがみ
  わたしはかみさまだ。
  このこをあげる。
                      かみさまより」
今日は一日で三日分くらいの出来事が起きてしまった。日記をつけていると、こういう日は一つに焦点を絞る事が出来ずに文章が蛇行してしまう。バイキングでお皿にお料理とりすぎた、みたいな日。ひとつだけ飛び抜けて嬉しかったのは、お母さん友達の電話で、離婚を回避する兆しが見えたこと。多分これが本日のローストビーフだ。
日常は前進しながら後退している。成長しながら歳をとっている。今日のように、道の途中に捨ておかれていくガラクタのなんと多いことだろうか。人生は全てがかけがえのないもので出来ている事を信じて、私という人間もなるべくしてここまで来ているのだと考えたい。この道がどれほど幼稚な軌跡で、厚顔で、鈍い感性で出来上がっていたとしても、その半生を自分一人だけでも慈しもうと考えている。また他人にとっては何の価値もない思い出、記憶、好きだったもの、通り過ぎて行ったもの、全てを大事に抱えていこうと思う。いずれ薄くかすれていく様々な痕跡も、私にとっては唯一のものなのだから。そして私以外の者にとっては全て単なるガラクタに過ぎないのだから。
昔、真新しいズボンに、「LLL」と書かれたシールをつけたまま、エスカレーターに乗っていた見知らぬ男性がいて、真後ろにいた私はその人に声をかけたことがある。その人は、うわっ、恥ずかしいな、と軽く笑って、その場ではがした。大変難しい作業だったのだ。声をかける技術と、なるべく平気そうに笑う技術は。私はその見知らぬ男性がしてくれた演技に、今でもありがたさを感じている。
今日わたしは、違う人が真新しいズボンに「LLL」と書かれたシールをつけたまま、歩いているのを見たのである。私は声をかけなかった。自分がしたことは親切ではないと思ったのである。本当にこれで良かったのだろうか。良いか悪いか今考えてみても判らない。日記を書く今になって、ますます判らなくなってきて、困っているのである。
朝、誰かの怒号と罵声で目が覚める。居間に向かうと、サッカー中継の最中だった。
おぬまさんが元気いっぱいで応援に励んでいる。日本対スコットランドだった。私は音をたてないようにおにぎりと味噌汁を作り、起きてきた娘に食べさせた。
おぬまさん始め観衆の本気度はただ事ではない。一方私はというと、綺麗な緑の芝だなあと思うだけの人間である。皆で戦争やってるみたい。
これだけの観客の血走った目を一身に受けて、選手に蹴られているあのボールは何か考えているのかも知れない。内心はどちらの国を応援しているのか。
……に、ほ、ん。……に、ほ、ん。
「今日は、日本に運が向いている」とおぬまさんに言うと、おぬまさんは画面から目を離さずに小さく頷いた。
娘は学校に行き、私は茶碗を洗い始めた。絶対に負けられない戦いがそこにあった。サッカーはいつも絶対に負けられない戦いばかりしているな。もし勝ってくれたら、平凡ながらよい一日になりそうな気がした。
テレビからわあっと歓声があがり、ボールは高々とゴールの遥か上を越えて、明後日の方向へ行ってしまった。
突然の着信音。お母さん友達から電話をもらう。電話に出るなり彼女は早口で言った。また別の問題が起きたわ。今気持を落ち着かせる為にかけたのよ、動揺しないあざらしさんだからお電話したの、と彼女は言った。
あの人はぎりぎりの姿で現れる。電話は5分で切れた。たぶん私の心の一部が別のことを考えていたからで、彼女に生返事をしたからだった。彼女の傷つきやすい敏感な心は、そういう私の一瞬のぬるさを聞き逃さなかった。
パソコンに頭をつけて、私は今39分も意識を失っていた。これ以上の考える作業はきっと耐えられない。赤玉がでてる。
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