銀色の棺が二つ、並んで隣の火葬場まで機械で運ばれていく。
後に続いて、喪服の集団がついていく。山の真ん中に作られた斎場は緑のなだらかな丘が延々と続いて、空が随分と広く見えている。
故人のお二人を知らないなりに、頭を垂れて悲しみを感じ取ろうと思っているのだが、ここのお家の流儀が独特で、自分には感情が渇いているように見えるのだった。涙涙の葬式とは全く違っている。喪服を着て、葬列に参加している自分も、何か人工の空の下にいるようだ。色々な家があり、色々な弔いがあるのだとつくづく感じた。
今回の喪主をしている50歳を越えた息子さんが、現実感を伴わないのか、明るく歩いていた。
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