子供の時、ミロという麦芽飲料が好きで、よくスプーンで直接粉をすくって、親に隠れてこっそり食べていた。
自分には、素直さがないのだという気がした。相手に対して素直になるよりは、黙って相手の顔を見ている選択の方が余程気が楽だった。素直と我が儘は同じもの、それはそれを許される人間がすること、自分は違う、という考えがある。しかし、素直になって失敗した思い出だけを抱え込んで、人に大切にされた思い出と暮らしていけない、この根深い不信感に、打ち勝ちたい、無駄に苦しい、厭だ、と切実に考えた。
だから今日はミロを買って、台所で涙目になって食べた。
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