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人間になればよかった...
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茨城、曇天。義母と娘とで庭のさつま芋を掘った。さつま芋畑は葉っぱと茎が一面に広がっている。義母の指示にしたがって、娘が軽い体重をかけてスコップを踏む。土はなかなか掘り進まない。ふたりは実に楽しそうに、あそこだここだと芋を探しあてる。この家の作物は、春夏秋冬ほとんど全て、孫である娘に収穫させる為に植えられている。これが一体娘の中でどの位幸福な思い出に育ち、何を残すことになるのか、その影響は計り知れないだろう。一方、自分は二人を手伝いながら、いつも一抹の寂しさを感じていたのだが、考えてみれば昔から、このような役回りの星の下に生まれついたのであり、主役級の暮らしには耐えられないのだから、この地味星をひっそりと行こう、と思いが定まった。その日から嘘のように上手く会話できるようになり、良い循環で廻りだしたのだから不思議なものだと思う。掘り出した芋達を抱き上げると、赤ん坊みたいに丸々と肥っていた。
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夕方に娘と茨城へ。大量の雨が降った名残で、アスファルトには大量の水たまりが残っていた。車を運転していると、後ろから物凄く眩しいライトをつけた車に煽られた。乱視でブレる目線が、さらにブレる。もし事故でも起こしたら、ライトの車と、乱視を矯正しないで運転している私との、共同作業ということになるのだろう。知らず知らずの内にも物事はくっつきたがる。希いが、真逆であるせいで。
食べる予定だった豆腐を食べそこねた。豆腐をじっと見る。賞味期限は今日までだ。人差し指をくの字に曲げて、クリーム色の表面をずぶりと突き刺した。指は気持よく下まで落ちて、まな板の上で止まった。しばらく指をそのままにしていた。豆腐を苛めてみて、自分的に得ることは何もなかった。明日までは食べられるだろう。
相棒は毎日撮影に出かけていく。パジャマを脱いだままだ。娘は毎日学校に出かけていく。パジャマを脱いだままだ。わたしはそれらを拾い上げ、裏返しにして、洗濯機のスイッチを入れる。服が回転し、水槽の中を水が吹き出す。回転するドラム内で服が暴れている。家族とはお互いの欠点を許すことだ。それがなくなったら、ただ人と同じ部屋にいるというだけの気がする。それがなくなったら、家事だって単なる便利屋と変わらない。
夜になると変になっているから、昼間の明るい時間に机に座った。今日は快晴、うす青と灰色の涼しげな空だ。遠くで木々の頭だけが見え、枝の格好が静止したまま天を差している。相棒と学生達の撮影は今日が初日だった。徹夜で一行書くのに皆で悩んでいたあのシーンを撮影している頃だろうか。
家事を片付けた後、緑の看板のコンビニに出かけて履歴書を買った。アルバイト先をキシタケくんから紹介してもらったので、近日面接をさせてもらう予定だった。買う前から不安にかられて、じっと袋に入った紙を見ていると、書くべき項目が何もなさそうなことに気が付いた。人に信頼してもらえるかは妖しいものだ。
原稿は朝に無事送ることが出来た。
今夜も日記が書けない。独り合点して、悲しみや苦しみを綴るより、何も判らないままに正直に書くしかないのではないだろうか。本当に他に道はないのだ。ほんとうにありのまま苦しみ、矛盾を目の前にして書くしかない。他に何の道もない。また生き方もない。
原形を留めないほど変わっていくのなら、それを喜びたい。時間とともに結論が変わっていくのなら、それも喜びたい。大事にしてくれた人は確かにいたのである。出来る限り、人に心配をかけない人間になろうと思う。
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