夕方、東京。九才の娘、心が乱れている。眠る前には私の指を掴んで離さない。今夜などは、大人になりたくないと言って泣いた。なりたくないと言っても歳はとるよ、いつか一人になる日が来るんだと答えたら、余計に泣いた。
子どものままでいた方が得だ、と思っているふしがある。茨城では優しくされて威張っているから尚更かも知れない。四年生になったってつまんない、勉強はいっぱいしないといけないし、面白くないもん、と言う。そして、反応がいちいち漫画やアニメに似ている。人生のお手本が明らかに虚構の方だ。相棒に相談すると、自分がこの歳の頃は早く大人になりたいと思っていた、と言う。私自身もそうだった記憶がある。娘は何かの境目にいて、怖じ気づいてしまったのだろうか。
際限なく甘える娘を相棒に任せて、握ってくる指を外して部屋を離れたら、手足をむちゃくちゃに動かして、幼稚園児のように暴れ出した。
子どものままでいた方が得だ、と思っているふしがある。茨城では優しくされて威張っているから尚更かも知れない。四年生になったってつまんない、勉強はいっぱいしないといけないし、面白くないもん、と言う。そして、反応がいちいち漫画やアニメに似ている。人生のお手本が明らかに虚構の方だ。相棒に相談すると、自分がこの歳の頃は早く大人になりたいと思っていた、と言う。私自身もそうだった記憶がある。娘は何かの境目にいて、怖じ気づいてしまったのだろうか。
際限なく甘える娘を相棒に任せて、握ってくる指を外して部屋を離れたら、手足をむちゃくちゃに動かして、幼稚園児のように暴れ出した。
茨城の庭は、草がぼうぼうに生えて真緑になっていた。この前刈った所だけ、かろうじて半分の丈になっている。あいにく朝から雨だったので、得意の草刈り機を使うことが出来ない。義母が、樹の根元で野鳥が卵を抱いているという情報を教えてくれた。二週間ずっと同じ場所にいて、義母は気がかりで毎日様子を見に行くのだと言う。小降りになった頃を見計らって、娘とその場所に行ってみると、すぐ足元、草の上に茶色い木の皮のようなものがあり、よく見るとそれが鳥だった。羽根を広げたまま平たく伏せるようにして、身じろぎ一つしない。今何を考えているのだろう。人間の気配はきっと感じているに違いない。こんな人家の側で危険な格好で伏せているなんて、鳥の中ではきっと賢くはないと思う。野鳥が卵をかえすまでは、周辺の草は刈らないことにし、一応は応援する方向で見守る事になった。
ストレッチ教室の人達に、コンビニのバイトに自転車で30分かけて通う必要がどこにあるのか、不思議そうに聞かれたけれど、自分でも説明出来なかった。これは無謀な計画だったのだろうか。初めて働くものだからよく判らない。今のところ自転車でしか行く方法がないから、斜めに肩にかけられる鞄と、雨に備えてレインコートだけは買った。初期投資はしたし、とても良い職場だったから、出来れば長く続けたい。
とはいえ、仕事にはまるで自信がないので、今日の午後は挨拶の練習と接客のイメトレをした。品物を持ってレジの前までやってきた自分に、レジ横に立っている自分がお辞儀をする。それで、二人の自分に繰り返し物を買わせ、気分がどんな感じかを再確認する。五人くらい自分を増やして列を作ったり、万引き犯になって自分で自分を追いかけていたら、いつの間にか机に伏せて爆睡していた。
とはいえ、仕事にはまるで自信がないので、今日の午後は挨拶の練習と接客のイメトレをした。品物を持ってレジの前までやってきた自分に、レジ横に立っている自分がお辞儀をする。それで、二人の自分に繰り返し物を買わせ、気分がどんな感じかを再確認する。五人くらい自分を増やして列を作ったり、万引き犯になって自分で自分を追いかけていたら、いつの間にか机に伏せて爆睡していた。