忍者ブログ
人間になればよかった...
[112] [113] [114] [115] [116] [117] [118] [119] [120] [121] [122]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

椿
赤い椿の花、庭にいっぱい落っこちている。地面一帯、本当に血でもしたたるようで、植物の景色でありながら妙に残酷な感じがする。頭からもげているのに、まだ奇麗に咲いている花びらばかりだ。
茨城にきて五日目。誰とも喋らない時間が長く経ちすぎて、おとなしそうな植物ばかりに話しかけて暮す。
PR
熱過ぎるお湯で湯たんぽを作り、赤ん坊のように抱いて日記をつける。自分よりあったかい物は、自分より偉いような気がして大事に抱いている。家族以外誰とも話をしないので、自分が家族の利益にかなっているか、その事のみを優先して暮す。役に立てれば、よしとしよう。東京に戻ってから後悔に苛まれないように、今の状態を覚えておこう。確実に時は経過する。何処に行っても矛盾なく暮せるような、そんな生き方などありはしない。やってみて上手くいくか失敗するかは単なる結果であって、まず先にこちらの我を折る努力から始めなければ、いったい何が始められるというのだろう。
夜、仕事の直しに関して相棒からメールが届く。やはり問題ありとされた箇所が相当あったようだ。東京に戻ってから打ち合わせに参加せよとの文面。
冷たい雨が午後に止んだ。運動を再開しようと思い、濡れた道を走ってみるが、身体が鉛みたいに重たくなっていた。たった数日動かさなかっただけで、あちこち衰えている。
今日はお義母さんの仕事がお休み。時折こたつに入って一緒にテレビのニュースなどを観る。話題を交わして、おかあさんは茨城の人だ、と当たり前のことを考える。生活の圏内がはっきりしている。農家の話題が出れば農家に同情し、この辺りの出身の力士がいれば、その力士を応援する。実家の北海道の暮しでもそうだが、生活圏に近い存在は総じて好ましいものとされて、その是非は土地の流儀に密着している。私も自分なりに工夫はしてみるのだが、地に足がついた生活というのが未だ不得手でいる。私とは環境だろうか。意思自体がそもそも環境の賜物だろうか。
原稿の直し、〆切日。時計とパソコンと椅子の上の飲み物に囲まれて、ひたすら頭を抱えて過ごした。肝心な箇所が思い浮かばない。朝に送ろうと思っていたが、駄目で、昼に送ろうと思ったが、それも駄目で、夕方の〆切にしてもらい、夜中になって提出した。とにかく仕事の方に迷惑をかける訳にはいかないから、今日出来なかったら、切腹だった。
腰がひどく痛んで、立つと中腰になる。今夜は切腹をまぬがれただけで、極楽の眠りだ。感想をいただいてから、また一から出直して頑張ろう。
東京ではきっと花見日和だったのだろう。ここ茨城ではどういう訳か、桜の樹がほとんど植えられていない。イメージ通り梅の都で、梅の時期には街全体から甘い香がする程なのだが、相手が桜だと驚くほどあっさりした付き合いとなる。どうしてなんだろう。
今日は茨城。家に籠って書き物をする。時折、休憩するため居間に行って、ゲームに没頭している娘と義母を眺める。私は人の背中ならまじまじと眺めることが出来る。これが目のついている側だと、途端に観察が難しくなるのが妙だ。目も背中も同じで、変わったところはないだろうに。
庭を眺めると、春になって初めての蝶を見かけた。蝶は弱々しい軌跡を辿って、左から右へとよたよた進む。明日は肌寒くなる予報が出ているというのに、あんな力で生きられるだろうか。
今日はなにかが、壊れてしまったような感じが強くする。現実の前では、一切が無駄だと思う。親しい友人への援助も、幾つかの善意と信じて実行した事も、善意は独りよがりで長持ちせず、忍耐は誤解の提供である。折り合いのつく筈のない現実に、いったい、どんな手が打てるというのだろう。意地の悪いものが根底に埋まっている。堪え性のない本性が顔をだす。共存して、これも自分の現実と飲み込まなくてはいけない。
東京を発つ前に、家族で桜を見に行った。やさしげなもの、桜の花びら、真白に光っている。
カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新記事
(02/27)
(02/26)
(02/25)
(02/24)
(02/23)
(02/22)
プロフィール
HN:
北海のあざらし
HP:
性別:
女性
ブログ内検索
カウンター
携帯用
アクセス解析
Powered by ニンジャブログ  Designed by ゆきぱんだ
Copyright © 三本指日記 All Rights Reserved
忍者ブログ / [PR]