八歳の娘には、学校の登下校を共にする女の子がいる。小柄な子で、歩くのが遅く、朝などいつも遅刻ぎりぎりだ。娘と女の子は肩を組んで、ふたりはだいしんゆう、などと言いあっているが、その割には激烈な喧嘩をしたり、びっくりするような大人っぽい理由を持ち出して互いを批判したりする。仲がいいのか悪いのか、黄色い校帽をかぶった二人がランドセルを背負って往き来する様子を、2年間マンションの窓から見送ってきた。この度女の子のお引っ越しが決まり、二人はますます仲良くなってきた。今朝も窓から見ていると、ほとんどくっつくようにして帽子が歩いている。私はさぞや別れが悲しいだろうと思い、娘にそう聞くと、全然と言う。娘はお別れの日を絶対考えないようにしているの、と私に言った。女の子の方もそうしているらしい。子供って偉いなと思う。
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